ルーツは病院にあった? 今年46歳、ボンカレーの過去:仕事をしたら“レトルトカレー”ができた(前編)(4/5 ページ)
1968年に発売された「ボンカレー」は、どのように開発されたのだろうか。製造元の大塚食品に聞いたところ、意外な答えが返ってきた。カレーが入っている袋を殺菌するために……。
伝説のホーロー看板
土肥: 半透明の袋では賞味期限が2〜3カ月ほど。「これではダメだ。売れない」ということで、翌年にはアルミ製の袋にして、賞味期限を格段に長くすることに成功された。また日本人の食生活が変化していったことで、レトルトカレーが売れていった。
ただ、商品が売れた理由は、それだけではないと思うんですよ。今の若い人は知らないと思うのですが、ボンカレーといえば広告のインパクトがすごかったですよね。テレビCMでは、笑福亭仁鶴さん扮する時代劇『子連れ狼』のパロディがヒットしました(1972年放送)。「大五郎、3分待つのだぞ」というコピーは多くの人の関心を集めました。巨人軍の王選手(当時)が登場したときにも、話題になりましたよね(1978年放送)。
また、女優・松山容子さんが微笑んでいるホーロー看板は、忘れることができません。大塚食品は本社が大阪なので、関西にこの看板が多かったのではないでしょうか。ワタクシは大阪で育ったので、この看板をよく目にしました。小学生のときには、友だちと一緒に看板を見ながら「誰やこのオバハン?」などと言っていました(失礼)。
垣内: 松山さんのホーロー看板は、全国で9万5000枚も取り付けられていたんですよ。
土肥: どのように取り付けていったのでしょうか? 民家の軒先とかにも貼っていましたよ。今では考えられません。
垣内: ホーロー看板は1枚でもかなりの重量なのですが、それを何枚も自転車に積んで、営業マンが回ったんですよ。雑貨店などを回って、「付けさせてください」とお願いしました。そして先方に承諾をいただいたら、トンカチを取り出して、すぐに取り付けていきました。
いまだと本部と交渉して、「はい、おしまい」といった感じですよね。当時はそうではなく、個人商店との結びつきがとても強かった。夏の暑い日にも、自転車をこいで、額から汗を流しながら、ホーロー看板を取り付けていきました。
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