タクシーに乗ってみたら、高齢の運転手さんがマルチリンガルだった:サカタカツミ「就活・転職のフシギ発見!」(2/4 ページ)
普段は外国人相手の観光案内が多いという運転手さん。前職では東南アジアを中心に日本企業の進出支援を手掛けていたそうですが、帰国後の転職市場ではその経験を持てあましてしまったと言います。
結果がすべての世界で仕事をするのは、リスクとストレスがある
私がたまたま乗り合わせたタクシーの運転手さん、前職は『東南アジアを中心とした海外で、日本企業が工場を立ち上げる仕事』をしていたとのこと。だから、英語はもちろんのこと、中国語、タイ語など複数の言語を流暢(りゅうちょう)に、もしくは片言でも意思疎通には困らない程度に身についたといいます。前職の経歴からいえば、持っていて当然のスキルです。
目的地に向かいながら、その時代の話をしてくれます。現地で工場を立ち上げる仕事をしているという人は、以前はそれほどいなくて、ほとんどが顔見知りという状態。現地で集まる場所も日本人が行きつけにする飲み屋かゴルフ場で、お馴染みの顔を見ながら腹の探り合いばかりしていたといいます。仕事で出し抜かれては困る、いわばライバルですから。
ただし、同時に「もっといい条件の仕事があるから来ない?」と誘ってくる仲間のような存在でもあったといいます。また、そのコミュニティに誰かが顔を出さなくなると、それは「仕事に失敗した」ということを意味した、とも話してくれました。「仕事の契約は、長くて半年。短いと2カ月くらいです。その間に成果を出さなければ、契約は更新されませんから」
「だからというのも変ですが」と前置きして、「若い人はいませんでした。そんな不安定な雇用条件で働きたいという、若い日本人などいないですよ。いまは若い人は海外に出ない、リスクを採らないと声高に叫んでいる偉い人を見ていると、だったらそういう条件で仕事してみろ、といいたくなりますね」と、経験者だからこその視点で、イマドキの若者批判を批判してくれました。
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