「寝台特急あけぼの」を残す、ひとつのアイデア:杉山淳一の時事日想(2/5 ページ)
東京と秋田・青森を結ぶ寝台特急「あけぼの」が、2014年3月15日のダイヤ改正で定期運行を終了する。秋田県側は存続を求めているが、JR東日本は前向きではない。ただ存続させる方法がひとつある。それは……。
秋田県の19団体が存続を要望
報道によると、2014年2月5日に秋田県内の自治体首長や商工団体代表がJR東日本本社や国土交通省を訪れ、「あけぼの」存続の要望書を手渡したという。「あけぼの」の廃止については2013年12月20日のプレスリリースで公式発表されているし(参照リンク、PDF)、ダイヤ改正まで1カ月ちょっとというタイミングでは、JR東日本だって翻意しにくかろう。この要望書は地元の支持者に対するポーズかな、といううがった見方もできる。ともあれ、私も「あけぼの」は何度か利用したし、秋田・北東北で朝から活動するためには便利な列車だから、この運動は実ってほしい。
朝日新聞によると、要望書に関わった団体は、大館市・能代市・由利本荘市など県内12市町村、大館や能代など沿線の7つの商工会議所や商工会とのこと。主に秋田新幹線「こまち」が停車しない地域である。これらの地域では「あけぼの」が廃止されると、東京直通の列車がなくなる。それが観光やビジネスにとって影響大という。要望は主に「あけぼの運行廃止の再考」と「移動手段の拡充」とのこと。
厳しい言い方をすれば、「あけぼの」がなくなっても、「こまち」から乗り換え1回で行けそうな地域である。そんな地域は甲府や松本、会津若松などいくらでもあって、観光やビジネスで低迷しているところばかりではない。「あけぼのを残せ」という前に、「あけぼの」を走らせたくなるような魅力ある街づくりが必要ではないか、とも思う。
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