ご存じ? バス停留所で生まれた、新たなビジネスモデル:杉山淳一の時事日想(1/4 ページ)
自宅の最寄りのバス停が、ある日突然カッコよくなった。屋根がつき、ベンチが付き、ガラスの掲示板にバスの情報がしっかり掲載されている。壁にはオシャレな広告も入っていた。最近、都内ではこのスタイルのバス停が増えているようだ。仕掛け人は……。
杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)
1967年東京都生まれ。信州大学経済学部卒。1989年アスキー入社、パソコン雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年にフリーライターとなる。PCゲーム、PCのカタログ、フリーソフトウェア、鉄道趣味、ファストフード分野で活動中。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。2008年より工学院大学情報学部情報デザイン学科非常勤講師。著書として『知れば知るほど面白い鉄道雑学157』『A列車で行こう9 公式ガイドブック』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」、Twitterアカウント:@Skywave_JP、誠Styleで「杉山淳一の +R Style」を連載している。
路線バスの停留所といえば、重石の付いたポールの頂上に丸い看板、その下には縦長の看板というスタイルを思い浮かべる。丸い看板にバス会社と停留所名、縦長のほうはバスの系統別に時刻表と行き先が掲示されている。両方が一体となったタイプもあるし、都市部では四角い柱で、内部に蛍光灯を仕込んで夜でも分かりやすいタイプもある。
バスの停留所は、道路や歩道の通行の邪魔にならないように、必要最低限の大きさで設置されていると思う。限られたスペースだから情報量も乏しい。しかし、バス会社が十分な情報を掲示しない場合、利用者獲得の機会を失う恐れがある。2012年に経営破たんした井笠バスの路線に乗った時、バス停の情報の少なさに「さもありなん」と思った。バス停はバス会社と利用者の接点である。路線情報をきちんと掲載しなければ、沿線住民に認知されない(関連記事)。
そんな話を書いたころ、自宅の最寄りのバス停がリニューアルされた。細い行灯タイプのバス停から、屋根つきの施設になった。ベンチも付き、大きな掲示板にバスの路線図や停車するすべての系統の発車予定時刻などが、お年寄りでもはっきり分かるサイズで貼り付けられていた。こういうバス停が理想だと思った。
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