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コラム

路線図が掲示されないバス停は困る……公共交通機関の情報サービスを精査せよ杉山淳一の時事日想(2/5 ページ)

2012年10月に経営破たんした「井笠鐡道」のバス路線が、4月から中国バス100%出資の「井笠バスカンパニー」として再スタートした。Webサイトでは路線や運賃の的確な情報提供も実施。井笠鐡道が怠った部分の補完が始まっている。

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途方に暮れた井笠鐡道バス

 ところが今年3月、久しぶりに情報不足でワクワクドキドキする体験をした。昨年10月に岡山県の井笠鐡道が経営破たんし、その社有地にある井笠鐡道記念館を訪ねようと思った。井笠鐡道は社名にこそ鐡道とあるけれど、すでに鉄道路線は全廃し、バス路線を運行していた。井笠鐡道記念館は廃止された井笠鐡道の新山駅跡に遺品を集めた施設で、今でも当時の駅長さんがボランティアで管理している。用地は破産管財人の管理下にあり、存続が危ぶまれている。今のうちに見ておいたほうがいいかも……と思った。

 井笠鐡道記念館は、井笠鐡道バスの新山バス停のそばにある。新山バス停を通るバス路線は、井原鉄道の小田駅を経由する。バスを運営する井笠鐡道は破たんし、中国バスが自治体の要請を受けてバスの運行を継続していた。そういう事情もあって、Webサイトの情報は極端に少なかった。今はきちんと整備されているが、今年の3月までは、バス路線の起点駅と方面、始発終発、主な停留所程度の情報しかなかった。そこには新山も小田も見つけられなかった。


井笠鉄道記念館。廃線跡を訪ねる旅には地方のバス路線が便利

 井笠鐡道の公式サイトは閉鎖されていた。しかし、そこに正確な情報があったら、きっと中国バスはデータを引き継いで掲載してくれただろう。つまり、井笠鐡道は、もともと情報の少ないサイトしか作っていなかったのではないか。

 そして現地の情報も少なかった。井原鉄道の小田駅は無人駅。ただし観光案内所があって、そこでバス停の場所を教えてもらう。バス通りのコンビニ駐車場の隅に簡素な停留所があった。ただし、バスの行き先と、停留所通過予定時刻を並べた貼り紙のみ。路線図すら貼っていないから、この先に新山バス停があるかどうかも分からない。


終点以外のバス停に行くには、これだけの情報では不安

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