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ご存じ? バス停留所で生まれた、新たなビジネスモデル杉山淳一の時事日想(2/4 ページ)

自宅の最寄りのバス停が、ある日突然カッコよくなった。屋根がつき、ベンチが付き、ガラスの掲示板にバスの情報がしっかり掲載されている。壁にはオシャレな広告も入っていた。最近、都内ではこのスタイルのバス停が増えているようだ。仕掛け人は……。

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仕掛け人はフランスの屋外広告メディア企業と三菱商事の合弁会社

 新しくなったバス停はスクロール式の大きな広告スペースもあり、おしゃれなデザインの広告を表示する。なるほど、バス会社が広告の売り上げでバス停を整備するのだな……と思った。その第一印象は半分当たり、半分外れ。広告の売り上げでバス停を整備するが、主体はバス会社ではなく、広告会社だった。

 広告スペースの隅に「お問い合せはエムシードゥコーへ」とあったので、このバス停の仕組みを聞いた。簡単に言うと、この施設「広告パネル付きバスシェルター」はバス会社ではなく、エムシードゥコー社が設置している。上屋の製造、設置、清掃やメンテナンスなどの費用は同社が負担する。バス会社の費用は掲示する時刻表の印刷代程度だ。広告料収入からシェルター関連費用を差し引いた金額がエムシードゥコー社の利益となる。

 バス利用者にとっては、屋根付きでバスの情報も得られるから嬉しい。それによってバスの乗客が増えればバス会社も嬉しい。乗客が増えればバスシェルターの広告価値も上がって、エムシードゥコー社も嬉しい。誰も困らず、関係者すべてにメリットがある。うまい仕組みである。

 エムシードゥコー社は、フランスのジェーシードゥコー(JCDecaux)社と三菱商事の合弁会社だ。JCDecauxの社名は創業者の「ジャン クロード ドゥコー」に由来し、日本では三菱商事のMCを冠してエムシードゥコー(MCDecaux)とした。合弁のきっかけは、現エムシードゥコー社取締役の大山昇氏が仏国三菱商事社長時代にパリのバス停の姿に感心したから。「日本で事業展開すれば、日本の都市景観の向上につながり、社会貢献になる」と考えて運営会社のJCDecauxに接触したという。海外の良いモノを日本へ、日本の良いモノを海外へ――いかにも商社らしい発想だ。

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