竹田恒泰さん、どうします? 東京五輪は「ヤクザ・オリンピック」だって:窪田順生の時事日想(1/3 ページ)
明治天皇の玄孫・竹田恒泰さんの発言が物議を醸している。五輪に出場した選手に「メダルは噛むな」などとツイートしたことで“炎上”。選手の振る舞いに注文をつけている間に、「こっちはどうなの?」という問題が出てきた。それは……。
窪田順生氏のプロフィール:
1974年生まれ、学習院大学文学部卒業。在学中から、テレビ情報番組の制作に携わり、『フライデー』の取材記者として3年間活動。その後、朝日新聞、漫画誌編集長、実話紙編集長などを経て、現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌でルポを発表するかたわらで、報道対策アドバイザーとしても活動している。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。近著に『死体の経済学』(小学館101新書)、『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)がある。
ちょっと前、ソチ・オリンピックに出場した代表選手にメダルはかむなとか負けてヘラヘラ笑うなとか、「注文」をつけたことで騒ぎになっていた明治天皇の玄孫(やしゃご)・竹田恒泰さんが、2月28日にテレビの生放送に出演し、芸能人たちに袋叩きにあったらしい。
個人的には、選手たちが「国を背負っちゃっている」存在であるため、しかるべき振る舞いをしてほしい、という竹田さんの主張は分からんでもない。が、北朝鮮じゃあるまいし個人のスポーツ選手にそこまで「国家」を求めんなよ、という拒否反応を示す人たちの気持ちも分かる。
代表選手が五輪に出られるまでのスポーツエリートに成長できたのは、国のおかげではない。
よく言われることだが、浅田真央ちゃんが一流アスリートになれたのは、寝る間も惜しんでホストクラブで働いて、練習をサポートし続けたお父さんの苦労があるし、なによりも真央ちゃん本人の血のにじむような努力に尽きる。つまり、トップアスリートには、「国家」以外にも背負っているものが山ほどあるというわけだ。
だからなかには、周囲の空気が読めず、「あちゃー」という言動をしてしまう人もいる。そういう残念な感じも含めて、「アマチュアスポーツの祭典」という気もするのだが、生まれながら「国」を意識して育った竹田さんにはピンとこないのだろう。
そしてもうひとつ、彼がここまでかたくなに選手に「国を背負え」と訴える背景には、やはりお父さんの恒和さんがJOC(日本オリンピック委員会)の会長を務めていることも大きい気がする。
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