サッポロビールの「まるごと国産」――社員が原料づくりから携わる、その狙いは?:国産原料100%(2/3 ページ)
サッポロビールは4月22日に、自社で育種開発した大麦とホップを用いた、国産原料100%ビール「まるごと国産」を発売する。このビールは、多くの社員が原料づくりから携わってできたモノだが、どんな特徴があるのだろうか。
収穫の際、大変だったこと
――「畑からのビールつくりプロジェクト」には、のべ1900人以上の社員が参加されたそうですね。どのようなきっかけで、このプロジェクトを始めようと思われたのですか?
石川: グループ会社が増えていく中で、「組織の枠を越えて何か新しいことに挑戦しよう」ということが根底にありました。ビール会社として何ができるのか――を考え、ビールづくりに全社員で取り組もうと決めました。
これまで研修制度の一環として、社員が大麦畑に足を運んで、収穫作業を体験することは何度かありました。ただ、今回のように、グループ社員全員にメールを送信して、プロジェクトへの参加を募ったのは初めてですね。
――石川さんも実際に畑に行かれたそうですが、現場ではどのような苦労があったのでしょうか?
石川: ホップ畑は、北海道の富良野町にあるのですが、ここは新しく借りた土地なんです。なので、最初は更地。なにもなかったところなので、まずは耕すことから始めました。1年目は試験栽培をして、2年目になってようやくゼロからスタートすることができました。
苦労ですか? 苦労というよりも、「不安」がありました。それは天候。北海道は雪が多く、雨も多い。収穫のタイミングが難しいのですが、たまたま天候に恵まれて、よいホップを収穫することができました。
収穫する際には、ちょっと苦労がありました。長さ4〜5メートルの木の棒があって、その先端にはクワが付いているんですよ。作業をする者はその棒を持って、ホップを切っていかなければいけません。そして、ホップと枝を分ける作業をして、トラックに積まなければいけません。
大麦の収穫は、これまでも研修の一環として何度か行ってきました。ただ、畑に入るのが「初めて」という人も多いので、事故がないように気をつかいました。大麦の畑は、埼玉県行田市にあるのですが、事前に契約農家の人たちと「どういった手順でやればいいのか」といった打ち合わせをしました。
大麦を収穫する際、農家の人たちは機械を使用します。しかし、私たちは手刈り。収穫は夏の暑い日だったので、体力的にキツかったですね。
――このプロジェクトに参加した社員からはどんな声があったのでしょうか?
石川: 「『ビールが自然の恵みからできている』ことを改めて実感した」という声が多かったですね。
あと、契約農家の人たちと触れる時間がたくさんあったので、「ホップや大麦を生産するにあたっての苦労話を聞いて、いろいろと参考になった」という意見もありました。
関連記事
- 最高醸造責任者に聞く、ギネスビールの“正しい”飲み方
アイルランドで生まれたギネスビールを飲んだことがないという人も多いのでは。そもそもギネスビールは他のビールのように、グラスに注いですぐに飲んでいけない。そこでギネスビールの最高醸造責任者に、“正しい”飲み方を教えてもらった。 - “不毛地帯”の日本で、なぜ黒ビールが売れたのか
「ビールは好きだけど、黒ビールは苦手」という人も多いのでは。しかし2012年は「黒ビール元年」と言っていいほど、売れに売れた。黒ビールの“不毛地帯”とも言える日本で、なぜ消費者に支持されたのか。アサヒビールのマーケティング担当者に話を聞いた。 - 撮影現場では何が起きていたの? キリン、話題のCM「カンフースター篇」
キリンビールのCM「カンフースター篇」が話題になっている。ネット上では「泣けた」「素晴らしい」といった声が続出しているが、撮影現場ではどのようなことが起きていたのか。撮影に携わった同社の担当者に話を聞いた。 - ローソンのコーヒーは誰が飲んでいる? データから見えてきたコト
「コーヒーはコンビニで買う」という人が増えてきているが、一体どんな人が購入しているのだろうか。ローソンのPontaカードを分析すれば「どういった人が何を買ったのか」が分かるので、担当者に直撃。男性20〜40代がよく飲んでいるのは……。 - コカ・コーラのようなマーケティングが、日本でできない理由
とあるコンサルティング会社が発表した「企業のブランド価値」ランキングによると、「コカ・コーラ」が13年連続でトップ。日本企業を見ると、トップは「トヨタ」で10位どまりだ。Neo@Ogilvyの山崎浩人さんは、コカ・コーラはある特徴的なマーケティングをしているという。それは……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.