ご存じ? ヨーグルト「Chobani(チョバーニ)」がヒットした秘密:人に話したくなるコラム(1/3 ページ)
今、ニューヨーク州で“ヨーグルトバブル”が到来している。その中心にいるのが、ギリシャヨーグルトの「Chobani(チョバーニ)」だ。人気の秘密は……?
人に話したくなるコラム:
いつでも簡単に世界中の情報を手に入れられる便利な時代になった今、逆に情報の波にのまれてしまっている人も多いはず。だからこそ、世の中に溢れる話題豊富で知的好奇心をくすぐるモノに目を凝らし、センスを磨けるような情報を深く探る――。
そんな思いをベースに、世界の企業動向や経営哲学をはじめ、それをとりまくカルチャーやトレンドなどを中心にして、思わず誰かに言いたくなるようなネタを提供していくコラムです。
米国東海岸には、ヨーグルト製造工場が密集する「ヨーグルト業界のシリコンバレー」と言われる場所がある。その場所は「アップステート・ニューヨーク」。ニューヨーク市から北に広がる広大な地域だ。
ヨーグルトのトップブランド「Yoplait(ヨープレイト)」を製造する食品企業大手のゼネラル・ミルズ、2013年に完成したばかりのペプシコとドイツの大手企業テオ・ミュラーの合弁会社ミュラー・クエーカー・デイリーなど含む、29もの工場がひしめきあっている。
2013年、ニューヨーク州はヨーグルト生産量でカリフォルニア州を抜いて全米1位になった。米農務省の発表によると、2012年にニューヨーク州で製造されたヨーグルトは6.92億ポンド(約3億1388万キロ)。実に過去5年で約3倍に増加した計算になる。これをビジネスチャンスとみたニューヨーク州は、2012年8月に初の「ヨーグルトサミット」なるものまで開催。ヨーグルトの原材料である生乳の生産量を増加させるため、酪農家への優遇政策にも積極的に行っている。
そして今、ニューヨーク州には“ヨーグルトバブル”が到来している。その中心にいるのが、ギリシャヨーグルトというニッチな商品で全米にブームを巻き起こした「Chobani(チョバーニ)」だ。
トルコからの留学生だったハムディ・ウルカヤ(Hamdi Ulukaya)は、自国で食べていたようなおいしいヨーグルトが米国にないことを知りショックを受ける。実家がチーズやヨーグルトの製造業を営んでいたこともあり、父親の勧めでウルカヤは米国でビジネスを立ち上げることを決意。当初は、フェタチーズを製造してレストランなどに卸す程度のビジネスにすぎなかったが、2005年に大きな転機が訪れた。
ニューヨーク州北部で売りに出されていた、築85年のヨーグルト製造工場を購入したのだ。実はこの工場は、もともとクラフトフーズ社(当時)が所有していた。そこでウルカヤは、クラフトフーズの元従業員数名とトルコから呼び寄せた知合いのヨーグルト職人の、たった5人で新たな会社を創業した。ギリシャヨーグルトの開発だけに18カ月かけ、2007年にようやく「チョバーニ」を発売した。
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