なぜ歯ブラシを買うのに迷うのか? 客の行動を分析して、分かったこと:仕事をしたら“客の迷い”が見えてきた(前編)(1/6 ページ)
お店の棚の前で「これにしようかな。いや、こっちにしようかな」と迷ったことがある人も多いだろう。そんな人の“迷い”を可視化するサービスが、2013年からスタートしている。お客の購買行動を分析することで、どんなことが見えてきたのだろうか。
とあるコンビニでのこと。デザイン会社で勤める田中健作さん(仮名、30代)は、商品を購入する際、いつも“迷って”いるという「うーん、今日のお昼ご飯どれにしようかな……」。棚に並んでいる唐揚弁当を手にして、「おいしそうだな……。でも最近、肉ばかり食べているから、今日は魚にしよう」。ということで、唐揚弁当を元に戻し、シャケ弁当を手にする。
弁当だけではなく、飲料でも同じように迷う。「新商品のお茶にしようかな。それともいつものやつにしようかな」といった感じで。そんなこんなで悩んだ挙句、ようやくレジへ。
田中さんはコンビニに10分ほど滞在したが、店側に残るデータはこれだけ。「30代、男性、シャケ弁当、ペットボトルのお茶を購入」――。彼のように「これにしようか、いやあれにしようか」という“悩みの行動”はこれまでよく分からなかったが、最新機器を使うことでいろいろなことが見えてきたという。
ん、どういうこと? なんだか気持ち悪いなあ。と思われるかもしれないが、そんなに心配する話ではない。店内に3Dセンサーを設置して、お客が「通過した」「立ち止まった」「商品を手にした」「購入した」といった情報を分析しているだけ。情報は数値化されているので、「“田中さん”がシャケ弁当を購入した」といった感じで、個人が特定されるわけではないのだ。
お客の行動を分析しているのは、株式会社ミディー。膨大な情報を数値化することで、どんなことが分かってきたのだろうか。「この商品の前では、多くのお客が悩んでいる」といった傾向はあるのだろうか。社長の深谷由紀貞さんに、話を聞いた。
関連記事
- ローソンのコーヒーは誰が飲んでいる? データから見えてきたコト
「コーヒーはコンビニで買う」という人が増えてきているが、一体どんな人が購入しているのだろうか。ローソンのPontaカードを分析すれば「どういった人が何を買ったのか」が分かるので、担当者に直撃。男性20〜40代がよく飲んでいるのは……。 - なぜ人は駅で買い物をするのか? 潜在意識を分析した
何気なく歩いていて、ついつい買い物をしてしまった。こんな経験をしたことがある人も多いのでは。なぜ人は移動中に買い物をしてしまうのか。生活者の購買行動などを分析している「ジェイアール東日本企画 駅消費研究センター」の担当者に話を聞いた。 - なぜ人間は買い物をするのか? 人を動かすツボは18パターンある
人ってなぜ買い物をするのか?――そんなことを疑問に感じたことがある人は少ないだろう。何も考えずに買い物をしている……と思っているかもしれないが、実はあるツボを押され“動かされている”かもしれないのだ。 - なぜコンビニは人気のない「エッグタルト」を売り続けるのか
ローソンでスイーツの販売データを見せてもらった。それによると「エッグタルト」はあまり売れていないのに、店頭に並び続けている。人気のない商品は消えていくはずなのに、なぜ「エッグタルト」を売り続けるのか。 - ルーツは病院にあった? 今年46歳、ボンカレーの過去
1968年に発売された「ボンカレー」は、どのように開発されたのだろうか。製造元の大塚食品に聞いたところ、意外な答えが返ってきた。カレーが入っている袋を殺菌するために……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.