社員が考えた面白いアイデアをマネタイズするのが経営者:世界を変えるビジネスは、たった1人の「熱」から生まれる(1/3 ページ)
イノベーションにつながるアイデアは、最初からお金のことを考えていたのでは生まれません。面白いアイデアがあるのに、マネタイズすることができなければ、それは上司の責任です。
集中連載「たった1人の「熱」から生まれる」について
本連載は、丸幸弘著、書籍『世界を変えるビジネスは、たった1人の「熱」から生まれる。』(日本実業出版社刊)から一部抜粋、編集しています。
“PDCA”でイノベーションは起こせない。これからのビジネスは“QPMI”です。イノベーションを起こす魔法のしくみ「QPMIサイクル」とは、
Q(question) たった1人の崇高な問題意識や疑問
P(passion) それを解決したいという強い情熱
M(mission/member)周囲を巻き込んでプロジェクト化する環境を作る
I(innovation)結果として革新的なビジネスが生まれる
この4つです。
著者、丸幸弘は数々の革新的なビジネスをプロデュースし、自社内では「出前実験教室」など200以上のプロジェクトを同時進行させ、しかもそのすべてが黒字。そして、社員全員が理系の博士号or修士号を取得しているという異色の研究者集団企業「リバネス」の代表取締役CEO。
本書では、世界を驚かせるようなイノベーションを起こすためのしくみ“QPMI”を中心に、リバネス独自の取り組みと社内制度、そして具体的な事業内容を初公開。べンチャー起業家、新規事業立ち上げに携わる人、中小企業の経営者から未来を夢見る理系学生まで、広く読んでいただきたい1冊。
面白いアイデアをマネタイズできなければ、それは上司の責任
イノベーションにつながるアイデアは、最初からお金のことを考えていたのでは生まれません。まず解決すべきクエスチョン(Q)があって、その次にマネタイズを考えるという順番は、決して逆であってはならない。
だからリバネスでは、若い社員に「もうかるビジネスを考えろ」という要求はしません。求めるのは「ひたすら考えて、面白いアイデアを出せ」ということです。
部下が考えた面白いアイデアを「とてもビジネスにならない」と言って上司がつぶしてしまうという光景は、会社に勤めていれば必ず1度は目にするはずです。でも、それは避けたほうがいい。社員が面白いアイデアを出せたなら、それでどうしたら利益が出る構造にできるかを、役員やマネージャーが必死に考えるべきです。面白いアイデアがあるのに、マネタイズすることができなければ、それは上司の責任です。
部下は面白いアイデアを考え続け、上司はそのマネタイズをひたすら考え続ける。当然ながら、それぞれの役割が違うのです。
会社全体で考え続ける癖がついてくると、ときどき新入社員が、まったくマネタイズできなさそうな、でもワクワクする企画書をもってくるようになります。
普通の会社だと、そういう企画書を見て「市場規模はどれくらいを想定しているの?」というようにネガティブにとらえがちですが、そもそも、ワクワクするようなイノベーションの市場規模なんて、分かるわけがない。誰も思いつかなかったイノベーションを起こそうというアイデアなんですから、数字は未知数で当然です。
そこでリバネスでは、アイデアを出してきた社員に対して、次の3つの質問を投げかけます。
「それ、新しいの?」
「それ、面白いの?」
「それ、やり続けられるの?」
この3つの質問に、ちゃんと理由を説明した上で「はい」と答えられるようであれば、上司が「じゃあ、とりあえずやってみようか」と言って、一緒に考える。「これ、どうやってビジネスにしていこうか?」と。
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