なぜ巨額な利益を生み出すのか、米国発「総合格闘技」のビジネスモデルを知る:臼北信行のスポーツ裏ネタ通信(4/4 ページ)
巨額な利益を生み出す、米国発の世界的総合格闘技「UFC」をご存じだろうか。なぜ「街のケンカ」から「スポーツ格闘技」へイメージチェンジできたのか、どんな手法で巨額な利益を生み出す興行に成長したか、その仕組みを解説しよう。
日本でも「総合格闘技ブーム」は再来するか
UFCはインターネットでの試合中継も行われており、PCやスマートデバイスとネットがあればどこでも観戦できる環境も整っている。日本でもニコニコ生放送、ひかりTVらがUFCの試合を課金制でネット配信するようになっており、ズッファが運営する公式サイト「UFC.TV」も(少し割高ながら)全大会を生中継でネット観戦できる。
大会ごとに設定されるネット視聴料金の総収入、さらにUFCの試合中継のネット配信契約を結んだ各国の動画配信サービス事業者から得る放映権料も入ってくることを考えると、システム的に言えばズッファの経営は当面安泰といえるかもしれない。もちろんUFCを魅力あるコンテンツとするため、リアルファイトの枠組みの中で人気スター選手の育成やマンネリ化の防止を常に考え続けなければならないのが経営基盤を支える最低条件であることぐらい、ズッファは認識しているだろう。
日本ではかつて「PRIDE」や「HERO’S」、「DREAM」などの総合格闘技イベントが隆盛を誇って一大ブームを沸き起こした。この総合格闘技=MMAの本場はUFCの台頭によっていまや米国主導になったが、とはいえ日本でも「DEEP」や「パンクラス」、「VTJ(ヴァーリー・トゥード・ジャパン)」、「プロフェッショナル修斗」など、MMAやそのルールに近い格闘技の大会および組織も根強い人気を背景に活動を続けている。プロレスとMMA、両面の試合興行を行う「IGF(イノキ・ゲノム・フェデレーション)」もそうだ。
さすがに今となっては興行ボリューム的にズッファを逆転するのは不可能かもしれないが、方法がないわけではない。これらの大会および組織から輩出された日本人ファイターがいつかUFCのチャンピオンとして頂点に立つ日が来ることを信じて待ちたい。
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