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女子バレー・眞鍋監督に聞く、世界で戦う組織をまとめ上げる女性リーダー像とは女性管理職を育成する(2/2 ページ)

どうすれば女性リーダーを見抜き、育てていくことができるのだろうか? また、その組織をまとめあげ、結果を残すことができるのだろうか? ロンドン五輪で銅メダルを手にした、バレーボール全日本女子チームの眞鍋監督にお話をうかがった。

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役職が人を育てる


全日本女子チームのキャプテンになるには、どんな資質が必要なのか?

原田: 眞鍋さんは監督という立場なので、チームの中で誰かを「キャプテンとして育てていこう」と思われたはず。どのようにして資質を見抜いて、育成されるのでしょうか?

眞鍋: キャプテンというのは、「実績」が必要。さらに、自分のことだけではなく、チームのことを考えられる「メンタル」を持っていないと、全日本のキャプテンになるのは難しい。

 私は、全日本女子チームのキャプテンに、木村沙織を指名しました。彼女は“のほほん”とした性格なので、一見、キャプテンには向いていないように見えます。しかし、経験などを考慮して、私は「キャプテンは木村しかない」と思っています。「役職が人を育てる」という言葉がありますよね。彼女にはバレー選手としてだけではなく、人間としてひと回りもふた回りも大きく成長してもらいたいですね。

原田: 木村さんのプレーなどを見て「キャプテンとしての自覚が出てきたなあ」と思った瞬間はありますか?

眞鍋: 変わりましたね。これまでの木村は自分中心で、日本のエースなのに協調性にやや欠けていました。しかしキャプテンになってからは、練習中に若い選手に話しかけたり、食事のときにも若い選手の輪の中に入ったりしています。キャプテンという役職が、彼女を変えたのではないでしょうか。

原田: 少し話は変わりますが、これからの女性リーダーに求められることは何でしょうか?

眞鍋: 「視野」を広げることが大切だと思っています。先ほども触れましたが、バレーボールをやっているからといって、バレーボールだけではダメ。サッカーを見たり、野球を見たり、ラグビーを見たり――。さまざまなことを経験することによって、自分のプレーに幅が広がると思っています。

女性登用の促進で、男性は女性をもっと勉強しなくてはいけない


女性集団をまとめるために、眞鍋監督は「コミュニケーション能力を磨く必要がある」という

原田: 国は「ウーマノミクス」を掲げて、女性を登用しようとしています。こうした動きについて、どのように感じられますか?

眞鍋: とてもいいことだと思います。ただ「自分は女性と話をするのが苦手だ」と感じている男性も多いのではないでしょうか。

 例えば「怒る」ことは難しい。「部下の女性にどのようにして怒ればいいのか」と悩まれている上司もいらっしゃるでしょう。眞鍋監督はどのように怒っているんですか? と思われるかもしれませんが、実はほとんど怒っていません。ただ、ある選手にだけは、注意をしています。しかも、みんなの前で。練習時間が長くなると、選手の集中力は落ちてきます。そうしたタイミングでその選手に注意をすると、場の雰囲気がガラリと変わる。みんなの集中力が高まるんですよね。

 なぜその選手に注意するかというと、彼女は人から何を言われても、全く気にしないタイプ。だから、注意しやすい。でも、ここで注意が必要です。彼女の性格をきちんと把握した上でなければ、注意はしません。傷つくタイプの人に、アレコレ言っても逆効果になりますからね。

原田: 男性管理職の人の中には「女性にどこまで仕事を任せていいか分からない→経験しないから女性が育たない」といったバッドスパイラルもあるそうです。

眞鍋: そこは信頼関係でしかありませんよね。もっと会話をする必要があります。今後、女性が世の中にどんどん進出してくるからには、男性がコミュニケーション能力を磨いていく必要があると思います。私も含め、男性はもっと勉強が必要です。

原田: 女子チームをマネジメントされてきた眞鍋監督の話を聞いていると、選手たちとのコミュニケーションの取り方に工夫をされているなあと思いました。またコミュニケーションを通じて、チームをひとつにまとめて、戦う集団に育て上げられています。女性リーダーの育成に悩まれている人だけでなく、「女性と話をするのが苦手」「女性組織のまとめ方が分からない」という人にも、とても参考になったのではないでしょうか。本日はありがとうございました。

(JVA 承認2014-03-006)

※今回のインタビューの様子は、こちらからご覧いただけます。

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提供:株式会社 リクルートキャリア
アイティメディア営業企画/制作:Business Media 誠 編集部/掲載内容有効期限:2014年4月7日

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