職業人生の出発にあたり、心得ておきたいこと:新社会人に贈る(2/5 ページ)
この春、就職する新社会人は、いまどんな気持ちでいるのでしょうか。不安と期待……そんな気持ちが入り混じっているかもしれません。これから何十年と続く職業人生の出発にあたり、大切なことをお伝えします。それは……。
「仕事を無事こなす」意識から「仕事をつくり出す」意識へ
まず「仕事の意識的拡張」について。私はおおまかに次のような段階でとらえます。
(1)与えられた仕事を無事にこなす
(2)与えられた仕事の中に改善点を見つけ、生産性を上げる
(3)仕事をつくり出す
(4)事業をつくり出す
(5)雇用をつくり出す
みなさんは、ともかく最初の部署で懸命に仕事のイロハを覚えることに注力します。(1)段階であっぷあっぷの状態が半年や1年は続くでしょう。そこから次第に自分なりに担当業務への改善点が見えてきて、生産性を向上させようとする意識が働いてきます。それは自分の仕事に対し、目配り・手配りできる範囲が広がったのです。これが(2)の段階です。
そしてさらに仕事との関わり方が進んでくると、自分がやるべき仕事をつくり出すようになります。所属する部署の課題、担当業務の課題が見えてきて、上司から言われずとも、新たにこういう動きをしよう、こういうアイデアを試みよう、既存にない方法を提案しよう、チームの中での自分の役割を拡げよう、何か目的をもったプロジェクトを立ち上げよう、といった働き方になります。これが(3)の段階です。この段階では、みずからの意志やアイデアを周囲に説明し、賛同者・協力者を得ながら仕事を動かしていくことが求められます。そこからさらに意識が広がると、事業を打ち立てるという格段に大きな単位の挑戦に心が動いたり、「雇用をつくり出す」レベルにまでたどり着くこともあります。
自分が関わる仕事への意識をどこまで広げていくか。これは各人が自由に設定できるものです。誰に言われるものでもありません、自分が決めるのです。私が企業現場で長年観察するところ、(2)段階止まりの人は多くいます。その中から(3)段階にいく人が何割か出てきます。そして一握りの人が(4)(5)へと上がっていきます。私はみなさんに、20代のうちに自分の仕事を能動的につくり出す(3)段階まで意識を拡張していけ、と申し上げたい。
関連記事
- ブラック企業問題はなぜ「辞めればいいじゃん」で解決しないのか
従業員を劣悪な環境で働かせ、使い捨てにする――。いわゆるブラック企業が社会問題になっているが、なぜそこで働く人は会社を辞めようとしないのか。その背景にあるのは……。 - 宋文州氏が語る、日本人が「多様性」を受け入れられないワケ
日本に多様性は必要だと思いますか? こう聞かれると、ほとんどの日本人は「必要だ」と答えるはずだ。にも関わらず、なぜ日本では多様性を受け入れる考え方が広がらないのか。その疑問を、ソフトブレーン創業者の宋文州氏にぶつけてみた。 - 借金大国日本で“踏み倒す人”が急増している理由
国民年金、給食費、授業料、治療費……今、公的な支払いを踏み倒す人が増えている。この背景には、いったいどんな「裏」があるのだろうか? - ゆとり教育で育った世代は、本当に仕事ができないのか
「若手社員が思うように育たない。その原因は“ゆとり教育”にある」と思っている人もいるだろう。しかしこの考え方は、本当に正しいのだろうか。原因は学校教育にあるのではなく、バブル崩壊以降の働き方の変化にあるのかもしれない。 - どうすればいいのか? 年収300万円時代がやって来る
景気低迷などの影響を受け、会社員の給料が下がり続けている。低年収時代に会社員はどのように生きていけばいいのだろうか。この問題について、人事コンサルタントの城繁幸さんとフリーライターの赤木智弘さんが語り合った。
Copyright (c) INSIGHT NOW! All Rights Reserved.