新社会人に贈る言葉――自ら選択肢を作り出し、仕事を選べる30代になれ:INSIGHT NOW!(2/3 ページ)
仕事は「しんどい」もの。そこを「しんどいけど面白い」「厳しいけど充実している」にできるかが大事なのです。そのために必要な考え方をお話ししましょう。
人生とは「選択が描く模様」である
入社して1、2年経つと「仕事がつまらない」「仕事内容が自分の能力とミスマッチだ」「希望する仕事をさせてもらえない」などの不満がそこかしこで出始め、転職を考える人も増えてきます。
確かにこのタイミングで人材紹介会社に登録すれば、“第二新卒”の採用として、いろいろな求人案件を紹介してもらえるでしょう。もちろん実際に転職してもよいのです。しかし、そこで手にする自由は「小さな自由」です。私はもっと「大きな自由」を手に入れなさいと言いたい。
仕事の内容を選り好みし、すぐに居場所を変えようとする生き方は、早晩に行き詰まります。まずはどっしり腰を下げて、与えられた仕事に真正面から取り組むことが大事です。そして「自分の仕事をつくり出す」、「仕事に強い意味を与える」、「仕事を自分のものとして責任を持ち、自分の味わいを醸し出す」といったことに専念すべきです。
こうした仕事との“関わり方”で自分らしさを強めていけば、成果は自ずと出ますし、周囲からの信頼も得られるでしょう。すると、目の前には予想もしなかった選択肢がいろいろと見えてくるはずです。そのときの選択肢こそ、一段レベルが高く、自分を確実に発展に導くものです。それこそ「大きな自由」なのです。
人生は選択の連続ですが、人はそれぞれ「選択する力」に差があると考えています。この力は、大まかに次の3つに分けられます。
「選択する力」の内容 | |
---|---|
選択肢を判断する力 | 眼前にある選択肢のうちどれが最良かを分析、判断する力 |
選択肢をつくる力 | 自分が選べる選択肢を作り出し、呼び寄せる力 |
選択を(事後的に)正解にする力 | 自分が選んだ道を、その後の努力で「これが正しかった!」と思える状況をつくる力 |
ここで、みなさんに強調したいのは2番目の力、すなわち、選択肢をつくる力です。眼前の仕事にどんと向き合い、それとの関わり方を深めることで、巡り巡って選択肢を増やすことにつながります。それには、眼前の仕事をしっかりとやりきり、何かしらの結果を出す習慣をつけること。日々その繰り返しです。
そのうち、あるとき気が付くと「仕事を選べる自分」になっているはずです。そこで初めて「仕事の内容」まで選べるようになるのです。30代後半以降、会社の中で自分のやりたいことをのびのびとやっている人は、20代から30代前半にかけて、仕事との関わり方を深め、自分が求める選択肢を呼び寄せてきた人なのです。
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