利益の獲得と将来に向けた「資産」の形成:世界を変えるビジネスは、たった1人の「熱」から生まれる(1/2 ページ)
会社の事業を継続するには「日銭を稼ぐ」ことも大事ですが、将来に向けてどれだけ「資産化」できるかも考えなければなりません。短期的な利益獲得と同時に、長期的な価値の増加をはかるのです。
集中連載「たった1人の「熱」から生まれる」について
本連載は、丸幸弘著、書籍『世界を変えるビジネスは、たった1人の「熱」から生まれる。』(日本実業出版社刊)から一部抜粋、編集しています。
“PDCA”でイノベーションは起こせない。これからのビジネスは“QPMI”です。イノベーションを起こす魔法のしくみ「QPMIサイクル」とは、
Q(question) たった1人の崇高な問題意識や疑問
P(passion) それを解決したいという強い情熱
M(mission/member)周囲を巻き込んでプロジェクト化する環境を作る
I(innovation)結果として革新的なビジネスが生まれる
この4つです。
著者、丸幸弘は数々の革新的なビジネスをプロデュースし、自社内では「出前実験教室」など200以上のプロジェクトを同時進行させ、しかもそのすべてが黒字。そして、社員全員が理系の博士号or修士号を取得しているという異色の研究者集団企業「リバネス」の代表取締役CEO。
本書では、世界を驚かせるようなイノベーションを起こすためのしくみ“QPMI”を中心に、リバネス独自の取り組みと社内制度、そして具体的な事業内容を初公開。べンチャー起業家、新規事業立ち上げに携わる人、中小企業の経営者から未来を夢見る理系学生まで、広く読んでいただきたい1冊。
リバネスでは、教育開発事業のほかに研究戦略開発、情報戦略開発、人材開発、地域開発、国際開発という事業を多面的に展開しています。
それぞれの事業部は独立採算制をとっており、継続的に事業を行っていくためには、いわば「日銭を稼ぐ」ことも必要になります。しかしその一方で、将来に向けてどれだけ「資産化」できるかということを常に考えています。短期的な利益を獲得すると同時に、長期的な価値の増加をはかるのです。
ただ単に日銭を稼ぐだけではなく、その事業からどうやって「資産」を形成するかを考え続けてきたからこそ、リバネスというベンチャー企業が10年以上も続いてきたのです。
「コミュニケーションデータベース」は代え難い財産
例えば、リバネスでは「incu・be(インキュビー)」という研究者向けのキャリア雑誌を発行しています。この雑誌は、読者が研究者としての能力を生かして将来を切り拓くきっかけを提供するものです。フリーペーパー(一部、書店流通分もあり)ですが、広告収入で利益を出しています。しかし、雑誌の広告モデルでは、その売上はたかが知れています。この雑誌を作り続ける目的は、広告収入ではありません。
incu・beでは、さまざまな研究者のインタビューを掲載しているのですが、僕たちは、一流の研究者たちと知り合い、新しいアイデアにつなげたいからこそ雑誌を作っているのです。
毎号インタビュー記事を掲載し、これまでに延べ150人以上の研究者のインタビューを紹介してきました。つまり、一流の先生方とのコミュニケーションデータベースができあがりつつあるのです。日銭を稼ぎながら、リバネスにとっての代え難い財産を築いています。
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