アイルトン・セナ、フェンシング、Perfume――電通・菅野薫氏に聞く、「広告×データ」の可能性:広告×ビッグデータ(5/5 ページ)
アイルトン・セナの1989年の走りを光と音で再現。東京オリンピック招致成功の一因となった動画。カンヌでのPerfumeのパフォーマンス――これらの共通項は“データ”だと、生みの親である菅野薫氏は話す。その真意とは?
カンヌ国際広告映画祭でのPerfumeのステージ
――菅野さんは、昨年カンヌで開催された広告祭「カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル 2013」で、Perfumeのプレゼンテーションにも関わっていますよね。「Spending all my time」を歌う&踊る白い衣装を着た3人にプロジェクションマッピングするというパフォーマンスでした。
菅野: 他のプロジェクトもチームでのプロジェクトなのですが、これは真鍋大度くん率いるライゾマティクスをはじめとした凄腕のチームと一緒に関わったプロジェクトです。リアルタイムにステージ上の3人のダンスの動きを映像解析して、彼女たちの体の形を認識し、それに合わせてトリミングした映像を映しています。動画を見てもらうと、動いても背景には映像が映っておらず、彼女たちの体にだけ映っていることが分かると思います。
――つまり、動いている3人にプロジェクションマッピングをしているという理解でいいのでしょうか。よく見るとこれ、途中で衣装の形が変形している上に、投影されている映像も一つじゃないんですね。ライブでこれをやるって、本当にすごいことですね……。
広告×データの可能性
――昨今、ビッグデータの流行で「データ」にも注目が集まっていますが、ほとんどの場合、データの使い道って「分析」ですよね。過去のデータを分析して将来のことを予測するとか、マーケティングに応用するとかいった使い方が普通だと思うんです。でも、データを広告に使うという菅野さんのアプローチはとてもユニークだと思いました。
菅野: そうですね。データから役立つ発見をしたりマーケティング的に上手に扱える人はたくさんいますが、「表現に使える」と考えて挑戦していることが自分の特徴と強みだと思っています。
ここ数年、プロジェクトを発表していく中で「可視化すること」の価値を考えてきました。データには何が刻まれているのかを“見える化”してあげること、プレゼンテーションすること……これが、広告屋がデータを扱う意義のひとつなんじゃないかな、と。これからは、また違う軸を探っていきたいです。
――今日はどうもありがとうございました。
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