創業は「紙」、今は「IT」――ビッグデータのカギを握る男に迫る:上阪徹が探る、リクルートのリアル(2/4 ページ)
リクルートの事業は「紙メディア」でスタートしたが、今や「IT企業だ」という声もある。たくさんのエンジニアを抱えるが、その中にビッグデータの開発に携わった男がいる。その男の名前は中野猛氏。現在ドイツに拠点を置いている彼をインタビューした。
リクルートはIT企業である
紙メディアからスタートしたリクルートの事業は、2000年前後を境に次々にネットにシフトし、実はすでに国内メディア事業売上高の4割を超える規模までネット事業が成長している(2012年3月時点、(株)リクルート単体)。だが、これは単に事業がネット化したことだけを示しているのではない。リクルートという会社がテクノロジーカンパニー化してきている、ということだ。だが、まだそのイメージは、社会にはあまり認知されていないのかもしれない。
実際、リクルート社内にはエンジニアが続々と増えており、今もエンジニア採用には極めて積極的だ。新卒では、エンジニア専門職も用意されている。社内では、すでに「リクルートはIT企業である」という声すらある。
そんなリクルートのテクノロジーカンパニーとしての中核的組織が、リクルートテクノロジーズ。グループ横断でIT・Webマーケティングの専門機能を担う。データ解析の専門組織もあり、ビッグデータに対して統計や数学的なアプローチを使うことで、広告費の削減やコストダウンなどのビジネス改善、さらにはリクルート独自の手法を取り入れたレコメンデーションのアルゴリズム開発など、先進的なソリューション開発に挑んでいる。
そして驚くべきは、すでに実証研究機関も作られていることだ。アドバンスドテクノロジーラボである。ITの先端技術が、リクルートで研究され、開発されているのだ。本連載の3人目に、このラボに所属するギークをご紹介したい。オープンソースの世界では広く知られている人物。ビッグデータの分析基盤である「Hadoop」を商用として日本で初めて導入し、リクルートがビッグデータで躍進する基盤技術開発で大きな役割を果たした中野猛氏だ。現在は、ドイツのベルリンを拠点に仕事をしている。
中野氏は2001年、奈良先端大学院大学を経て入社した。同志社大学工学部では情報システム工学を学び、在学中に就職活動を行って数社の大手メーカーから内定を得ていた。ところが就職せずに進学の道を選ぶ。
「いろんな会社を回るのは楽しかったんですが、途中でひとつの思いが強くなっていって。どうも自分はまだまだ浅いな、ということです。ある会社のパンフレットに活躍している社員の話があって、読んでいてショックを受けたんです。このまま卒業しただけでは、この人にまったく太刀打ちできないな、と」
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