失敗は最高の財産だが、本気の失敗でなきゃ意味がない――ロコンドの復活戦略:これからの働き方、新時代のリーダー(2/3 ページ)
初年度の大失敗をふまえてビジネスモデルを練り直したロコンド。2014年度は黒字化に向けて「ニコタマ」戦略を打ち出している。利用者が「ほっこり」する買い物体験はどうなるのか?
ロコンド上に3タイプのニコタマを構築する
田中: ロコンドの主な顧客層とニコタマに住む女性像が似ているのです。二子玉川は、街もきれいで、便利で、ベビーカーでも移動しやすい。渋谷や銀座は「遠くから出てくるところ」ですが、二子玉川に遠くからやってくる人は少ないんですね。基本的には、世田谷区民がやってくるという地元感が、まさに「ほっこり」だと思うんです。
岡田: それで、ロコンドをどのようにニコタマ化していくのでしょうか?
田中: 二子玉川には大きな建物が3つあります。それと同じようにロコンドにも3つのエリアを作っていきます。Web上のニコタマを作ろうというのが2014年度の構想です。
1つ目が、「高島屋SC南館」戦略です。SC南館というと、国内ブランドと海外ブランドがいい感じで入り交じっていて、全体的に「ちょっといい感じ」を生み出しています。その雰囲気をロコンドに取り入れます。
そこで、デシグアルのような海外の大型ブランド、「少なくとも売り上げが1000億円以上、でも日本ではあまり知られていないところ」を積極的に誘致します。これは、ロコンドで2013年にとてもうまくいった戦略の1つでした。例えば、先ほどの例に挙げたチャールズ&キースとは独占EC販売契約を結んでいます。
こういうブランドは、名前を知っていても日本に店舗が1〜2店しかないので買いにくい。「じゃあ、通販だ」となっても自分にぴったりなサイズが分からないのです。ブランドによって、同じ号数でもサイズ感はまちまちですから。だからこそ、試着ができるECであるロコンドが選ばれるわけです。
岡田: 2つ目の戦略は?
田中: 「ライズ」戦略です。ライズは、オフィスビルや商業施設などの複合施設で、H&Mなどが出店しています。私にとって、ライズは「いいブランドが安く買える」というイメージ。それが、今春からサービスを始めたアウトレットサービス「ロコレット」です。
国内のアウトレットECはいくつかありますが、マーケットが広がっているかといえば「うーん、どうかな?」という状態。でも、米国ではブランドアウトレットがいまだに絶好調です。新たにママ層を狙った「ズーリリー(zulily)」というサイトが登場して、500〜600億円を売り上げています。
実は、2014年2月にとあるミセスブランドのアウトレット品を調達する機会がありました。2007〜2008年シーズンの商品を6000足集めましたが、1週間で3500足が売れました。「やっぱりブランドアウトレットECは間違いなくポテンシャルがある」と思いましたね。
岡田: なぜ、日本のブランドアウトレットECは元気がないのでしょうか?
田中: いくつか課題があります。1つ目は、買いやすい値段設定になっていないこと。2つ目は、ハードルが高いこと。送料がかかったり、返品がNGだったり、返品できたとしても手数料がかかったり。例えば、3000円のものを買って、返品したら1500円かかるとしたら、何が何だか……となりませんか?
ロコレットでは、ブランドアウトレットが60〜70%オフで買えて、基本的に送料無料、30日間返品保証。さすがにロコンドのように返送無料にはできませんが、大きさにかかわらず一律で750円としました。ブランドアウトレットECの市場規模は米国の1%くらいしかないので、大きな商機だととらえています。
岡田: 3つ目の戦略は何でしょうか?
田中: 「高島屋本館」戦略ですね。われわれの売り上げ実績を見ると、サルトルという10万円もするブーツがトップ3に入っています。同じくサントーニという高級ビジネスシューズもベスト10内です。こういう高価なものに対して、お客さんは安心できるECで買いたいと思っているはず。2014年秋から、サルトルやサントーニを中心としたハイブランドだけにフォーカスしたサービスを始める計画です。
岡田: 10万円もする靴だと、実店舗でも足を運びにくいですよね。「試着だけのつもりでも、買わされたらどうしよう」とか……。
田中: 私だって緊張しますよ(笑)。試着をして10分くらい悩んでもいいのかな、とか。自宅で試着できるロコンドなら、納得するまで試着できますから、むしろハイブランドの方が「買ってから選ぶ」というビジネスモデルにぴったりハマるかもしれませんね。
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