スマホが普及、変わり目は“今”──Livescribeが仕掛ける「スマートペン」市場の勝算:“タッチの次”を見いだす技術(3/4 ページ)
書いたものがそのままデジタル化される「スマートペン」に注目が集まっている。スマホUIは今後どう進化するか、どんなスタイルが主流になりそうか。海外市場での投入から遅れること数年、満を持して日本市場にスマートペンで参入したLivescribeのジル・ブシャールCEOに勝算を聞いた。
「スマートペン市場」の可能性と動向
── 流行ワード「IoT」(Internet of Thinks:モノのインターネット/あらゆる機器がインターネットにつながる考え方、あるいはそれを実現する技術や機器)が話題になる中、スマートペンは今後どのように進化するのか、あるいは普及していくのか、展望をうかがえますか。
ブシャールCEO 現在、Livescribeは3種類のモデルがあります。このうち2つ(Livescribe 3、Livescribe WiFi)は基本的にインターネットに接続して使います。とくにスマートデバイスと自然に融合できるLivescribe 3は、すでにIoTの分野に合致する製品です。
こうした進化や普及により「スマートペンが、私達が普段使う従来のペンとまったく同じようなものになる」という展望です。これこそがIoTの概念に一致する部分ではないかと思います。
もちろんそれを達成するためには、価格的にも、販売網も、あるいは使いやすさのさらなる向上なども必要でしょう。例えばLibescribe 3のペンは、単に機能を組み込んだのでなく「ペン・文具のデザイナーが、“ペン”としてデザイン」しており、現段階でも自然にペンとして使って違和感がないよう仕上げたのも隠れた工夫です。テクノロジーの進化は、どちらかというと多機能性より「よりペンに近いかたちを追求する」方向へ活用したいと考えています。
── 改めて、現時点のスマートペンの市場動向を教えて下さい。
ブシャールCEO これは難しい質問です。われわれは、今、市場を作り出している段階だからです。Livescribeのスマートペンは、アップルのiPhoneと同じ2007年に誕生しました。当時、6年後のスマートフォンがまさかここまでの市場になるとは思わないほど成長したように、スマートペンもそういった市場を開拓すべく努力しています。
そもそも成熟したペン・文具市場があり、そこにスマートデバイスが広く普及してきていますね。こんなスマートデバイス所有者の25%が、Livescribeのような“スマートデバイスプラスα”の応用製品に感心があると調査結果により分かりました。数量に換算すると、現時点でもスマートペンには500万〜600万人規模の市場規模があると考えます。
Livescribeは1万7900円(税抜)ほどですが、その需要が増えれば増えるほど、ニーズに応じてカテゴライズ化できます。より高機能で、特定の層に特化した製品、そしてエントリー層向けに価格帯を下げた製品も投入できるようになるでしょう。
── LibescribeシリーズはiPhoneと同じ2007年に登場し、他国ではすでに好評と聞いています。一方、日本市場ではこれからというところですね。改めて日本市場での戦略、活動などその方針を教えて下さい。
ブシャールCEO 日本市場では2013年5月に「Livescribe wifi スマートペン」をソースネクストと提携して発売しました。ペンにWi-Fiによる通信機能を内蔵し、Livescribeペンで書いたものを直接Evernote(クラウドストレージサービス)へ保存する機能を持つ製品です。デジタルメモの保存先として、クラウドストレージサービスとして利用者が多いEvernoteと連携できること、そしてソースネクストはEvernoteの国内販売店(ディストリビュータ)でもあるので、この提携は日本市場への参入においてとても重要と考えています。
もう1つはPCとUSB接続して使う「Echo smartpen」。こちらは機能がシンプルなことをウリに、世界各国の教育分野で評価を得てきています。日本においては学研(学研ホールディングスおよび学研教育出版)とパートナーシップを結び、学研が展開する教育教材の1つに採用されました。
最後に最新製品のスマートデバイス+Bluetooth LE連携版「Libescribe 3」(2013年12月発売)です。こちらは関連社(ソフトバンクモバイル)がiPhone、iPadのディストリビュータであり、さらにスマートデバイスアクセサリの販売で大手のソフトバンクBBと、そしてWeb通販大手の楽天と提携して展開します。iPhone、iPadをはじめとするスマートデバイスとの親和性から、Apple Storeや楽天ブックスを通じての販売も行います。
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