なぜ米国ではなく、ドイツに? ビッグデータを構築した男が選んだ道:上阪徹が探る、リクルートのリアル(2/5 ページ)
リクルートにはたくさんのエンジニアが在籍しているが、その中で先端技術の研究を行っているのが中野猛氏だ。世界中のエンジニアが集まる場所といえば、米国のシリコンバレーだが、彼が選んだ拠点はドイツのベルリン。その理由は……。
かつては異質の入社だったという理系大学院出身者。システム開発のディレクションをする立場からキャリアがスタートしたが、むしろ、リクルートが発注していた外部のIT企業の社員とウマが合ったという。
だが、「協力会社はリスクが取りにくい」という発注側だったからこそ見えてきた発想を軸に、自らオープンソースの先端技術へのチャレンジを深めていく。そんな中、上司から莫大なコストがかかっている社内の検索エンジンについて相談を受けることになる。
「コストのことはよく分かりませんでした。そんなことより、探したい文字列を入れたら、ここに載っているよという検索機能が自社のサイトになかったことがおかしいと思ったんです。米国のWebサイトには当然のように付いていたのに。なきゃマズイでしょ、と。何億浮くとか、そんなことじゃなくて」
自分で技術を探した。いくつかの選択肢の中で、オープンソース「Solr(ソーラー)」をリクルートにいち早く導入する。米国の大手Webサイト向けに開発された技術だったが、日本語対応の修正を加え、中野氏は使える形にしていった。各サービスの担当者がこの新技術に興味を持ったことから、今やリクルートグループの横断基盤の検索エンジンにまで成長している。サイト検索性の向上によってカスタマーの利便性は高まり、商用ミドルウェアからの載せ替えによって数億円もの大幅なコスト削減が実現した。
「外国のエンジニアたちがメーリングリストで意見を取り交わしているのが、楽しそうに見えたんですよ。これいいんじゃないか、と思って調べて。『R25』でもそうでしたが、国内採用実績なしで突破するというか、使って何とかものにする、効果を出す、というのは、それまでに何度もやっていましたし。検索エンジンもいけるんじゃないかという感覚はありましたね」
エンジニアの力で数億円ものコスト削減が可能になる。ビジネスを活性化させられる。いかに紙メディアをネットに置き換えていくか、というリクルートの発想は、やがてテクノロジーをどう使って、どうビジネスを生み出し、考えていくか、という発想へと変わり始める。
システムをがっちりと保守するという役割とはまた別に、エンジニアに大きな役割があることにリクルートは気づいていくのだ。それを確信に変えたのが、中野氏が手がけた次のプロジェクトだった。リクルートのビッグデータを世に知らしめることになったと言っても過言ではない分析基盤「Hadoop」の日本初の導入である。
「実はビッグデータという話は、後から付いてきているんです。半年くらい後から言葉ができて、急に盛り上がった感じでしょうか。それまでに技術的にエッジの立った世界のエンジニアが徐々に気にし始めていて、和訳してみたいな、何か仕事に結びつけてみたいな、という技術だったんです」
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