農業の世界にも“カイゼン”が広まるのか トヨタの新たな試み:松岡功の時事日想(2/3 ページ)
トヨタ生産方式で農業も「カイゼン」――。トヨタ自動車がこのほど、自らの生産方式とITを駆使した農業支援に乗り出した。果たして農業にもカイゼンの動きが広がるか。
カイゼンが農業の国際競争力強化につながるか
トヨタ自動車はITについても、トヨタ生産方式に適用するとともに、自動車のテレマティクスサービス(カーナビやGPSなどの車載機と移動体通信システムを利用して、さまざまな情報やサービスを提供すること)などで、これまで長年にわたって応用技術を培ってきた。クラウド技術の応用にも積極的に取り組んでおり、今回の豊作計画もすでに提携関係にある米セールスフォース・ドットコムのクラウド基盤を利用することで、短期間でシステムを立ち上げた。
同社が豊作計画を計画した背景には、農業モデルの変化もあるようだ。2011年から愛知県の米生産農業法人と共同で生産プロセスのカイゼンに取り組んできた同社は、同地域において複数の小規模農家や地主が大規模米生産農業法人に農作業を委託するモデルが拡大していることに着目。農家や地主ごとに広範囲に分断して存在する水田を集約して管理し、効率的な農作業を可能とするシステムとして豊作計画の開発を進めてきた。
そして、2012年より実施した2年間の試行の結果、作業工数・ミスの低減や資材費削減、経営管理レベルの向上などに大きな成果が認められたことから、今回の正式な提供開始の運びとなった。
トヨタ自動車では、2014年4月から農林水産省主催による「先端モデル農業確立実証事業」に参画し、愛知県と石川県の米生産農業法人9社および石川県と共同でコンソーシアム「米づくりカイゼンネットワーク」を立ち上げ、豊作計画の提供と併せてさらなる効率化と品質向上に向けた実証実験を進めている。
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