20〜30代の人に伝えたいことは? SBIホールディングスの北尾社長が語る:働くこと、生きること(後編)(2/3 ページ)
「人間の原点」というものがなかなか見えづらくなっているが、こうした時代に若い人はどのように対応していけばいいのだろうか。SBIホールディングスの北尾社長が、20〜30代のビジネスパーソンに“すべきこと”を語った。
「学ぶ」と「考える」が両輪になり、人間の精神は発達していく
原点が見えづらくなった時代、若いビジネスパーソンに伝えたいことはなんだろう?
「若い人、特に20代の人は、すべてが勉強。20代のうちに勉強をどれだけ真剣にやるかに尽きます。勉強というと、書物を読むとか、人から聞くとか。インターネットで知識をつけるとか、学ぶことだけを考えがちです。でも、それだけじゃない。やるべきことは、思索を深める、考えるということです。
『論語』の中にあるように、『学んで思わざれば則(すなわ)ち罔(くら)し 思うて学ばざれば則ち殆(あやう)し』(学んでも自分で考えなければ、真の知識として身につかない。考えても学ばなければ、独善に陥り危険である)ということです。この『学ぶ』ということと『考える』ということが両輪になって、人間の精神は発達していく。
ですから上司から言われたことをただやるだけではなく、『この仕事はどんな意味があるんだろう』『会社にとってどんな意義があるんだろう』『これをやるなら、自分ならこうする』『誰かこういう仕事を効率的にやっている人はいるんだろうか』など考え、学びながら思索を深めて成長していってほしいと思います」
20代が学ぶ、考える世代だとしたら、30代は?
「30代も20代の延長線上だけれども、『三十にして立つ』而立(じりつ)の歳と言われますが、立志の歳でもありますね。従って、自分が勉強してきた中で、興味や関心がどこにあるのか、どのような志を持ち、どういう生き方をすべきか、どういった人生を送るべきかということについて、ある程度方向性を固めていくときだと思います。
でも30代はまだ気持ちがあっちに行ったりこっちに行ったりするでしょう。ただし40代は不惑の歳。ここではもう迷わない。これと決めた志を持ち、一生懸命進んでいく。それに尽きるでしょう。そして『五十にして天命を知る』ということで、50歳くらいで自分の天命はこういうことなのだと思えるように生きるのが理想ですね」
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