20〜30代の人に伝えたいことは? SBIホールディングスの北尾社長が語る:働くこと、生きること(後編)(3/3 ページ)
「人間の原点」というものがなかなか見えづらくなっているが、こうした時代に若い人はどのように対応していけばいいのだろうか。SBIホールディングスの北尾社長が、20〜30代のビジネスパーソンに“すべきこと”を語った。
最後の仕事として貢献したいのは、人類の健康の増進
北尾さんは、この1月で63歳。論語でいうところの「六十にして耳順(みみしたが)う」(他人の意見に素直に耳を傾けることができるようになる)歳である。そのようないま、今後はどんな事業を進めていきたいと考えているのか?
「それについてはハッキリしているんですが、私が代表を務めるSBIグループにはオンライン証券・銀行・保険などのインターネットをベースとした金融業・投資業・バイオ事業の3つの事業があります。その中でインターネット金融業・投資業に関しては、世の中の時流に乗っている事業ですので、部下たちによって自然に伸びていくでしょう。
私がこれからやらなくてはいけないと思っているのはバイオ事業です。今、SBIグループには医薬品の研究開発をすすめる『SBIバイオテック』『SBIファーマ』『SBIアラプロモ』という会社があります。その中でもSBIファーマが研究を進めている、体内で作られるアミノ酸の一種であり、生命の根源物質と言われている『ALA』(5-アミノレブリン酸)が人間の老化やさまざまな病気に関わっているということも次第に分かってきました。この『ALA』などの研究を続け、人類の健康の増進に少しでも役に立てればと考えています。
バイオ事業を軌道に乗せた後は、やはり社会貢献として『公益財団法人SBI子ども希望財団』と私が創設した社会福祉法人『慈徳院』という被虐待児のための子どもの心のケアハウスでの活動や、『SBI大学院大学』を設立していますから、そこで日本の未来を担う若者を育成する。そういうことに全力を尽くしていこうと思います」
実業家としてなすべきことは、まだまだ数多い。
印南敦史(いんなみ・あつし)
1962年東京生まれ。ライター、編集者、コピーライター。人間性を引き出すことに主眼を置いたインタビューを得意分野とし、週刊文春、日刊現代、STORYなどさまざまな媒体において、これまでに500件におよぶインタビュー実積を持つ。また書評家でもあり、「ライフハッカー」への寄稿は高い評価を得ている。
関連記事
- SBIホールディングスの北尾CEOに聞く、「働く」とは何か?
インターネット総合金融グループであるSBIホールディングスの北尾吉孝CEOへのインタビュー。大学卒業後、野村證券に就職、その後、ソフトバンクで働くことになった“きっかけ”などを語ってもらった。 - 新幹線清掃を7分間で終わらせる“おもてなし”集団
新幹線の車内清掃を7分で終わらせるJR東日本テクノハートTESSEIの技術が、世界的に注目されている。スタッフはどのような心がけで清掃をしているのだろうか。『奇跡の職場 新幹線清掃チームの“働く誇り”』(あさ出版)の著者に話を聞いた。 - 人は能力さえあれば、成功を手にすることができるのか?
「働く」ことについて、不安を抱えるビジネスパーソンも多いだろう。社内の人間関係や待遇など、人にとって悩みはさまざま。しかしその悩みを解決せずに、そのままにしていてはいけない。そこでSBIホールディングスの北尾吉孝CEOに、読者から寄せられた仕事の悩みなどを聞いてみた。 - なぜ給料が二極化するのか? 年収200万円と800万円の人
景気低迷の影響を受け、給料は下がり続けている――。そんなビジネスパーソンも少なくないだろう。では、今後10年間はどうなのか。リクルートで働き、中学校の校長を務めた藤原和博さんに「10年後の給料」を予測してもらった。 - どうすればいいのか? 年収300万円時代がやって来る
景気低迷などの影響を受け、会社員の給料が下がり続けている。低年収時代に会社員はどのように生きていけばいいのだろうか。この問題について、人事コンサルタントの城繁幸さんとフリーライターの赤木智弘さんが語り合った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.