2015年、「クーリングオフ」の制定でケータイビジネスが一変するかもしれない:キャッシュバックも月々割も消える?(2/5 ページ)
携帯電話や光回線といった、通信サービスの契約にクーリングオフが近々導入されることをご存じだろうか。携帯電話の店頭販売におけるトラブルから、消費者を守るためのものだが、実はケータイビジネスを一変させる可能性を秘めている。
なぜクーリングオフが制定されるのか
そもそも、この通信サービスにおけるクーリングオフは、2008年に設立した総務省の研究会(電気通信サービス利用者懇談)で議論が始まった。光回線やプロバイダの契約競争が激化し、代理店による訪問販売や電話勧誘販売への苦情が増加したためだ。消費者センターや消費者系弁護士などは「特商法では訪問販売や電話勧誘販売にクーリングオフがあるのに、電気通信サービスは特商法の適用外で、消費者が保護されないのは問題がある」と主張していた。
それに対し、クーリングオフの法制化を避けたい総務省と通信業界は、「利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会」を設立。この件をガイドラインの作成と、自主ルールの見直しで乗り切ろうとした。2年間様子を見てトラブルが減れば、法制化を見送る算段だったが、それから2年でトラブルは減るどころか、増加の一途をたどることになる(2013年9月公開、「スマートフォン安心安全強化戦略」報告書による)。
その理由はケータイショップ。訪問販売や電話勧誘だけではなく、携帯電話の店頭販売において新たなトラブルが発生したのだ。「余計なオプションに加入させられた」「家で電話が全然つながらない」「キャッシュバックが約束通りもらえない」「キッズケータイまで押しつけられた」と、トラブルの内容も多岐にわたる。
苦情が増加してしまったため、総務省もついにクーリングオフの法制化に向けて動き出した。現在、電気通信事業法にクーリングオフ(または類似の規定)の要素を入れる方向で検討中という。通信サービスを特商法の適用範囲にする、というアプローチも可能だが、電気通信サービスが経済産業省や消費者庁の管轄に入ることになり、「霞が関的な縄張り争いで実現が難しい」(総務省研究会の元構成員)そうだ。
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