注目高まる動画配信ビジネス、成功へのカギと大きな課題:真の『動画元年』を迎えるために(1/2 ページ)
日テレによるHulu買収、KADOKAWA・DWANGO誕生など、動画配信ビジネスに注目が集まっている。技術環境やプラットフォームがそろってきたものの、動画ビジネスの普及にはまだ課題があるという。それは何か?
YouTubeやニコニコ動画といったユーザー投稿型(CGM)動画共有サービスの利用者が増え、インターネット上で動画を使ったプロモーションや広告が増えつつあるなど、動画に関するビジネスに注目が集まっている。
特に動画配信については、日本テレビが「Hulu」の日本事業を買収し、つい先日も、動画共有サイト「ニコニコ動画」を運営するドワンゴと、出版最大手のKADOKAWAが統合するなど、従来型のメディア企業が本気で動画ビジネスに取り組もうとする動きも出てきた。米国などではいくつか成功事例も出ているが、日本でも動画配信ビジネスは普及するのか。Ooyala(ウーヤラ)は5月27日、日本におけるオンライン動画の配信状況や視聴傾向を発表した。
Ooyalaは動画コンテンツをWeb上で配信するためのプラットフォームを提供しており、日本国内では、日本テレビや日本のプロバスケットボールリーグ「bjリーグ」など、放送局や通信・Web事業者、動画サイトが利用している。
同社は全世界で約2億人というユーザーの視聴データを集めて分析することで、動画サービスの収益を支援するビジネスも行っており、データ分析の結果(Ooyalaを使用した動画に限る)から、動画配信ビジネスを成功させるカギや日本特有の傾向が見えてきたという。
スマートデバイスで動画を見る時間が増加、日本はスマホが顕著
「近年は動画を視聴するデバイスが、PCからスマートフォンやタブレットに移っている」と話すのは同社アジアパシフィック担当ヴァイスプレジデントのキース・バッジ氏だ。デバイスごとに動画視聴時間を計算したところ、2013年の10〜12月におけるタブレットやスマートフォンの動画視聴時間は、全デバイスの17%を占めるようになった。
「まだ全体の5分の1にも満たないが、2011年に比べて約7倍となっており、増加速度は目を見張るものがある。スマートデバイスで動画を見る習慣は今後も広がっていくだろう」(キース・バッジ氏)
またこうしたWeb上の配信動画は、時間が長いコンテンツの人気が高いという。同社の調査によると、ユーザーがスマートフォンで視聴した動画のうち、時間が1時間以上のものは全体の約31%にのぼった。この状況についてキース氏は「屋外でコンサートやイベント、ライブのスポーツ中継を見るユーザーがいるため」と説明。特にスポーツ関連では、見たいときにいつでも視聴できる録画コンテンツよりも、生中継の方が人気が高いという。
日本については、世界平均と比べてスマートフォンによる動画視聴時間が多く、反対にタブレットによる動画視聴は少ない。また世界に比べて、日本を含むアジア圏はiPhoneシリーズ(iOS搭載端末)のユーザーが多く、その割合は82%にものぼった(アジア圏全体、日本のみだと76%)。
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