『窓ぎわのトットちゃん』が救った電車たち:杉山淳一の時事日想(3/4 ページ)
長野県の安曇野ちひろ公園で、かつて長野電鉄で活躍した電車2両が保存展示されるという。よいニュースだ。しかし他の保存車両たちは、朽ち果てる運命のようだ。もちろんなんでも保存していけばキリがない。とはいえ、観光資源として生かす方法を検討していただきたい。
廃駅の信濃川田は長野電鉄が保有、車両も安置
しかし「トットちゃんの広場」の報道で、古い電車2台は残っていたと分かった。では、どの電車が譲渡され、残りの電車や機関車はどうなったか。長野電鉄によると、松川村に譲渡する車両は大正15年(1926年)製の電車「デハニ201」と昭和2年(1927年)製の電車「モハ604」とのことだ。報道されている製造年とは異なるが、これはどちらの車両も製造後に改造され、番号も変わっているため。報道では現在の姿になった時点を製造年としているようだ。いずれにしてもかなり古い。そして、『窓ぎわのトットちゃん』の時代考証に近い車両である。
長野電鉄の話では、旧屋代線の信濃川田駅は、現在も長野電鉄が保有している。かつて「ながでん電車の広場」にあった車両はすべてここに移したとのこと。松川村に譲渡されなかった「モハ1003」電車と、「ED502」電気機関車のほか、2000系特急電車と3500系電車も安置されている。このうち、2000系電車については今後も長野電鉄が保有する方針だ。しかし、他の車両については未定とのこと。松川村のように譲渡希望があれば検討する。譲渡の見通しがなければいずれ解体処分になるという。
せっかく屋根付きの「ながでん電車の広場」で大切に保管されていた車両も、現在は廃線跡で雨ざらし。鉄道ファンのブログなどを検索すると、当初はブルーシートが掛けられていたようだが、現在は風で剥がされてしまったままという。このまま朽ちていき、部品が落ちるなどの危険な状態を察知したら解体、という運命になるだろう。
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