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上司は隣の部署の社員も評価しなければいけない――なぜそんなことを?上阪徹が探る、リクルートのリアル(5/5 ページ)

成果主義、実力主義を導入している企業は増えてきたが、売上高が1挑円を超えるリクルートではどのような人事制度を導入しているのだろうか。経営企画室長の今村健一氏に話を聞いた。

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しつこくやり続けられるか


経営企画室のトップに、36歳の若さで就任した

 驚くべきは、これが経営層まで行われていることである。リクルートの役職は、リーダー、グループマネージャー、グループエグゼクティブ、そして執行役員となっていくが、グループエグゼクティブは全社で100人程度しかいない。多くは分社化されたカンパニーの役員か、ホールディングスの室長クラスだが、彼らについての人材開発委員会は社長を含むホールディングスの全執行役員が、海外もテレビ会議につないで3時間を10回、実に30時間もの時間をかけて行う、というのである。

 「一人ひとりやりますね。この人物の強みと弱みは何で、1年前と比べて改善されたか。それはどういうファクトに基づいて言っているか。ファクトは甘くないか。この課題を解決するためには、このポストを与えたほうがいいのではないか。しつこいくらい議論する。特に、グループエグゼクティブを執行役員にするときには、それがさらにしつこくなります」

 なんとも手間のかかるやり方である。しかし、もしかしたら本当に人材を評価し、しかるべき役割を与える、ということになるのであれば、このくらい真剣にやらなければ分からないのかもしれない。実際、だからこそ30代の執行役員も誕生しているのだ。

 「実はもともと近いことを、リクルートはやっていたんですよね。各部署で優秀な社員を表彰するための審査会というのは、まさにこれだったのではないかと思うんです。課長全員が集まり、自分の部下をプレゼンし、大変な時間をかけて決めていく。それに近い感覚なんです。そういう文化がもともとあった。これを人材開発の切り口でやり始めたのが、人材開発委員会なんです。この仕組み自体、理論上は極めて合理的であることに多くの会社の人事は気づいていると思います。問題は、それをしつこくやり続けられるか、ということ。リクルートの場合、これがもともと好きだったんです」

つづく

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