世界から「児童ポルノ帝国」と呼ばれるニッポン:伊吹太歩の時事日想(2/4 ページ)
衆議院で可決した「児童買春・ポルノ禁止法」改正案。日本では大きく報じられていないように見えるが、海外では大きな話題になっている。規制が強化された格好だが、海外メディアの反応は厳しい。その内容とは……?
「児童ポルノ大国」がついに動いた
今回の児童ポルノ禁止法に関する反応はどうか。欧米メディアの論調はおおむね、児童ポルノにゆるい「児童ポルノ大国」の日本も“Finally(ついに)”重い腰を上げたか、というものが大半だった。
フランスのAFP通信は「日本が今日、児童ポルノ所持の禁止に近づいた。日本はまだ禁止をしていない先進国で最後の主要国だ」と報じた。英ガーディアン紙は「この法案が提出された背景には、日本に対し、ほかの先進国と共同歩調を取るべきだとする国際的なプレッシャーがあった。日本は強姦や子供に対する性犯罪のビデオや写真、その他の画像の所持が合法であるG7(先進7カ国)で唯一の国だ」と伝えている。
さらには、世界中にある児童ポルノの映像などのうち、約8割は日本が発信していると書く記事もあった。要するに、日本はこの分野で先進国の役割を果たしていないという見方が強いことが分かる。
ただ日本には、アニメやマンガなど日本文化の一部として“萌え”などのジャンルが存在し、日本人の間でそうした文化は、たとえ描写の対象が16歳未満の少女であっても、一般的には認知されているようだ。欧米では、そういう“文化”を好ましくないと思う人が一般的には多い。2012年に米ケーブルテレビ局CNNがAKB48の生みの親である、秋元康氏へ独占インタビューを行ったが(参照リンク)、そこでのやり取りが、価値観の相違をよく表している。
CNNの記者: 日本社会には、10代の少女に対する本当の性愛化がある。それを10代の少女に対する搾取だと言う人すらいる。そして、あなたのビデオには、学校の制服を着たり、ビキニやセクシーな下着を着用し、食べ物を口移しにしたり、キスしたり、水浴びしたりする若い少女たちが登場する。あなたは、ある意味で(10代の少女に対する性愛化に)貢献しているのですか?
秋元康: (通訳を通して)それはないですね。芸術表現です。
こうしたインタビューの内容も、日本のイメージになっていく。
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