世界から「児童ポルノ帝国」と呼ばれるニッポン:伊吹太歩の時事日想(3/4 ページ)
衆議院で可決した「児童買春・ポルノ禁止法」改正案。日本では大きく報じられていないように見えるが、海外では大きな話題になっている。規制が強化された格好だが、海外メディアの反応は厳しい。その内容とは……?
“対象外”となったアニメやマンガに批判が集まる
児童ポルノ(というよりアニメなどを含む子供の性的描写)の規制が取りざたされると、日本では「表現の自由が侵される」という議論が必ずと言っていいほど出る。ただ皮肉なことに、日本は世界的にみても「表現の自由」が広く認められている国だとは認識されていない。国境なき記者団のランキングでは、日本は世界で59位に位置している(参照リンク)。にもかかわらず「特に児童ポルノではやたら『表現の自由』を振りかざしている」といったイメージが独り歩きしても仕方がないのかもしれない。
日本で規制が遅れた理由は、この「表現の自由」という問題だった。それでも規制強化に踏み出したい国会は、「表現の自由」を勘案し、今回の法案ではアニメやマンガなどは児童ポルノ規制の対象外にしたのだ。
だが、この配慮に対して海外の報道は厳しい。前出のAFP通信による配信記事も「日本で大人気のアニメやマンガで描写される小児性愛は(その規制から)排除された」と報じている。外国人にとって、この“対象外”となったアニメやマンガが小児性愛の温床であるとの見方は引き続き続くことになる。
有名な米ニュース系サイト「The Daily Beast(デイリービースト)」では、「法案は児童ポルノのマンガやアニメ、CG画像は除外している。これによって、秋葉原などにあるような、少女や少年、または両方を性的に従属させるビデオゲームを大量に扱う店舗が営業を続けることになる。新法を制定しても恐らく、日本は『児童ポルノ帝国』として君臨し続けるだろうが、日本が問題に対処しているかのような、『ベイビーステップ(小さな前進)』を踏み出したと見せることにはなる」と辛辣(しんらつ)だ(参照記事:Japan's Kiddie Porn Empire: Bye-Bye?)。

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