世界一になるとはどういうことか――答えは、まだ出ていない:上阪徹が探る、リクルートのリアル(2/4 ページ)
幅広い領域で次々とビジネスを拡大しているリクルート。中長期戦略の柱は「グローバル化」と「IT化」だが、具体的にどんなことを行っているのだろうか。37歳の若さで経営企画室長に抜てきされた今村健一氏に話を聞いた。
グローバルとITというテーマ
経営企画で4年を過ごした今村氏は、ここでまた異動の希望を出す。もともと経営企画ではなく、事業の企画をやってみたかった。しかも、経験のない人材系の事業に行きたいと申し出た。そして配属されたのが、現在の「リクルートジョブズ」が統括しているアルバイトの求人領域だった。当時30歳。ここで5年間、事業企画部門でマネジャーとして過ごす。全国的な組織再編、ネット商品の拡大、新サービスの立ち上げなどに奔走。事業拡大やコスト削減に成功する。しかし、ここでもまた、やはり反発にぶつかることになった。
「ただ単に、そのときどきにやるべきテーマの話をするのではなく、未来の事業のためには今、何をするべきか、という話をいつもしていましたね。本来の目的は何なのか、ということです。これはスタッフ経験があったことが大きかったと思います」
事業の再構築はうまくいき、売り上げも上昇し始めた。大成功だと思い始めた矢先、リーマンショックが起こる。その後、売り上げは2年で3分の1までへこむ。今度は、いかにスリムな経営にするか、事業の重複の見直し、細かなコスト削減。これまでとは違う仕事で“筋肉”を鍛えられた。そしてこのまま「リクルートジョブズ」の経営に携わるつもりでいたとき、またしても予想外の異動がやってきた。古巣の経営企画へ。しかも、室長というポジションへの抜てきである。2012年4月のことだ。
「どうして自分だったのか、は言われなかったですし、聞かなかったです。あまりそういうことを気にしないタイプなので。おそらくこういうことをやるべきなんだろうな、と自分の中で反すうして腹に落とそうとする人間なんです」
しかも、またしても大きな転換期だった。柏木社長が退任し、峰岸真澄社長に交代。さらに7つの国内事業会社に分社化するタイミングだった。
なぜ自分が重要なポジションに就くことになったのか。なんとなく想像はできたという。社長が代わり、分社化する。グローバル、ITといった新しいテーマが打ち出される。経営として大きな意思決定をし、強い方針を打ち出しながらも、バランスを取らないといけないことが山のようにあったのだ。
「自分の意見を打ち出しながらも、バランスを取りながら物事が進められるタイプの室長が求められていたんだと思いました。自分でもまさに、いろんな意見を統合しながら案件を進めるタイプだと思っていましたので」
今村氏はすでにグループエグゼクティブに2年前に昇進していた。それだけのポテンシャルを多くの上司に見込まれていたのだ。
「こいつをこのポジションにはめてみよう、ということだったわけですから。光栄に思って、ではやります、ということで」
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