世界一になるとはどういうことか――答えは、まだ出ていない:上阪徹が探る、リクルートのリアル(4/4 ページ)
幅広い領域で次々とビジネスを拡大しているリクルート。中長期戦略の柱は「グローバル化」と「IT化」だが、具体的にどんなことを行っているのだろうか。37歳の若さで経営企画室長に抜てきされた今村健一氏に話を聞いた。
リクルートのよさ
改めて今、リクルートのよさはどんなところにあると考えているのだろう。
「一人ひとりが責任と権限を持って仕事ができるところだと思います。まさに、それが当事者意識を強くする。自分がこうしたいんだ、という意思を持つためには、ある程度、任せられないとシラけてしまいます。役員から新入社員まで、全員がそういう機会に恵まれていると思っています」
では、何がそうした空気を作り上げているのか。
「人こそが価値の会社だ、ということだと思います。だから、一人ひとりの可能性に賭ける。そこのがんばりがないと、事業自体が立ちゆかなくなると思っているから。仕組みやシステムだけでは勝てないんです。すぐに競合が出てきますから。一人ひとりの成長の積み重ねこそが、会社の成長につながると、創業以来、信じている会社なんだと思います」
今村氏は、こうしたカルチャーの中で自らを成長させてきた。
「リクルートで得られたことは、ひとつは経営をするスキルだと思っています。テクニカルなスキルもそうですが、人や組織をマネジメントするスキルもそうです。でも、何より思うのは、経営は、やっぱり社会に貢献する力だ、ということです。そのために手段としてもうけないといけないし、人を育てないといけないし、新しい事業を生み続けなければいけない。これこそまさに、経営理念で掲げていることですけどね」
世界一になるとはどういうことか、経営陣の間で引き続き議論を続けているという。もとより世界一になることそのものが、目的ではない。それは手段である。それが分かっているからこそ、簡単には結論は出せないのだろう。リクルートは、まったく新しいステージに向けて、走り出している。
関連記事
- どうすればいいのか? 年収300万円時代がやって来る
景気低迷などの影響を受け、会社員の給料が下がり続けている。低年収時代に会社員はどのように生きていけばいいのだろうか。この問題について、人事コンサルタントの城繁幸さんとフリーライターの赤木智弘さんが語り合った。 - なぜ給料が二極化するのか? 年収200万円と800万円の人
景気低迷の影響を受け、給料は下がり続けている――。そんなビジネスパーソンも少なくないだろう。では、今後10年間はどうなのか。リクルートで働き、中学校の校長を務めた藤原和博さんに「10年後の給料」を予測してもらった。 - 年収1000万円超のビジネスパーソンに聞く、就活生にオススメしない業界
現在就職活動中の大学生に薦めたい就職先は? 平均年収1000万円超のビジネスパーソンに聞いた。ビズリーチ調べ。 - 大企業の正社員、3割は会社を辞める
東日本大震災の発生以降、「今後どのように働いていけばいいのか」と考えるビジネスパーソンも多いのでは。ポスト大震災の働き方について、人気ブロガーのちきりんさんと人事コンサルタントの城繁幸さんが語り合った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.