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えっ、前の飛行機を抜いてもいいの? パイロットの知られざる世界仕事をしたら“空”を飛べた(6/6 ページ)

パイロットといえばエリート中のエリートというイメージがあるが、飛行機を操縦しているときどんなことを考えているのだろうか。JALでボーイング777の機長を務める近藤さんに話を聞いたところ、意外な答えが返ってきた。

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近藤: というわけではありません。例えば、高度を3〜4つの中から選べるという条件の中で、JALはこの高度がいい、他の航空会社はこの高度がいい、と決めて飛んでいます。そして、予想した風がウチの考えとピタッと合ったときには、同じスピードでも抜けることがあるんですよ。

 また、飛行機の機種によって、スピードが違います。なので、操縦しているときに、前を飛んでいる飛行機の機種を知りたくなるんですよ。例えば、ボーイング777ではこれだけのスピードが出るけど、767ではこれだけのスピードしか出ない。前を飛んでいる飛行機が767の場合、このまま行けば抜けるかなとか。残り時間は何分なので……ギリギリかなとか。そんなことも考えていますね。

 なぜそんなに早く到着したいかというと、ボクたちがちょっとでも早く休みたい、と思っているわけではありません(笑)。空港のイミグレーションコントロール(出入国管理)は、混むことが多い。例えば、超大型旅客機「エアバスA380」が先に到着されると、イミグレがものすごく混むんですよ。できればボクが乗せているお客さまには、混雑を回避して入国していただきたい。

土肥: 自分の荷物がなかなか出てこなかったり、イミグレで行列ができていると、ウンザリしますよね。長旅で疲れているので、さらに疲れが増すような気分になる。

近藤: もちろん、過剰にスピードを出すのは危ない。なるべく今のスピードを維持したままで、前の飛行機を抜けるような工夫をしています。でも、抜いたり、抜かれたりの世界なんですよね。

土肥: ハハハ。イミグレで行列ができていたら、「なにやってんだ、オレが乗っていた飛行機のパイロットは」と思えばいいんですね。冗談、冗談。

(終わり)

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