リクルートの最年少役員は何を考え、どんな仕事をしてきたのか:上阪徹が探る、リクルートのリアル(3/6 ページ)
リクルートに入社して13年目……36歳の若さで執行役員に任命された、出木場久征氏。彼は何を考え、どんな仕事をしてきたのだろうか。
この指止まれでうまくやれたら
実は学生時代から、ネットビジネスで個人事業を始めていた。会社に入って3年ほどして法人化。ネットには慣れていた。売れている車種を見つけるなど、難しいことではなかった。Webサイト上のデータを分析することで、どんなクルマにページビューが集まっているか、どの色が人気か、中古車価格はどのくらいが相場か、自分でマッピングし始めた。
「それでクライアントには、手持ちのクルマで最も売れそうなクルマの値段を少し下げ、それを広告の目玉商品にしてもらうんです。そうすると、売れるんですよ。だって、人気なのにおトクだから。提案して売れたら、また次も、ということになるわけです」
広告を出してもらうのではなく、クライアントの持つクルマを売ることを考えたのだ。そもそもクライアントの広告の目的はクルマを売ることだから。これがリクルートの新しい価値の創造を表彰する制度“ARINA”で全社表彰も受け、営業企画部門への異動につながった。
だが、いいことばかりだったわけではない。営業企画時代、抜てきされた中古車のネットオークションを行う大手検索エンジンとの共同プロジェクトは散々な状況になる。
「8億円の目標に、売り上げが400万円。査定の評価は最低でした。あんなに毎日、残業して頑張ったのに……。このとき思ったのは、そもそもの企画の仕立てが悪いと、どうにもならないということです」
リクルート本体の企画部門から出てきた企画書は立派なものだった。しかし、営業現場を熟知してきただけに、素直にうなずけない自分がいた。
「ネットでやれば中古車を1万円安く仕入れられる、というのがウリだったんですが、販売店の社長はみんな、リアルのオークションが大好きなんですよ。週に一度、同業者にも会えるし、お昼ご飯はタダで食べられるし、みんな楽しみにしてた。1万円安くなるとか、そういう問題ではなかったんですよね」
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