リクルートの最年少役員は何を考え、どんな仕事をしてきたのか:上阪徹が探る、リクルートのリアル(4/6 ページ)
リクルートに入社して13年目……36歳の若さで執行役員に任命された、出木場久征氏。彼は何を考え、どんな仕事をしてきたのだろうか。
一方、この頃、学生時代に自分で作っていたネット企業の売り上げが立ち始め、月商が数百万円になる月も出てきた。もともと3年で辞めるつもりだったし、このネットビジネスに集中したい思いもあり、退職を申し出たこともあった。すると、当時の所属部門の長に食事に誘われた。この人物こそ、後の社長、峰岸真澄氏である。
「『辞めて何をやるんだ』と聞かれたので、ネットですよ、ガンガンもうかりますよ、と返しました。そうしたら、こう言われたんです。『そうだな、お前はそんなふうにして年商10億円くらいの会社を作って、外車とか買ったりするのがお似合いかもな』と」
後に峰岸氏のもとで、出木場氏はホットペッパーやじゃらんなどの日常消費領域を委ねられ、1000億円近くの規模へ育てることになるが、当時は知るよしもない。だが、何かが引っかかった。
「確かに自分で事業をやったほうがもうかったとは思います。実際、10億円の会社の社長になって、外車に乗って、会社の経費で毎日飲み歩いていたと思う。それもひとつの生き方かもしれない。でも、それが本当に自分のやりたいことなのか、と思ったんです。お金はたくさんなくても、社会にもっとちゃんと影響力があることを一生懸命やることのほうが、意味があるんじゃないか、と。いや、振り返ると、本当におっしゃる通りでした。ただ、そんなことを20代の若者に言うのは、どう考えてもおっさんすぎるやり方だな、と思いますけどね、今でも(笑)。あ、やばい、社長の悪口、言っちゃった(笑)」
だが、このときの思いが、後の出木場氏の行動をより大胆にしていくことになる。
「今もそうなんですが、別に会社のために生まれてきたわけじゃないわけです。お金のためとか、会社のためとか、そんなんじゃないでしょ、と。こうすれば世の中、便利になるよね、役に立つよね、ということができなきゃ意味がない、ということです。そういうゴールを設定し、この指止まれでうまくやれたら、やっぱりいいものができていくと思うんです」
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