新生VAIO、“ソニーじゃなくなる”とどうなる?:VAIOのDNAを継承「VAIO株式会社」発足(4/5 ページ)
VAIOがなくなる? こんな心配もあったが、ソニーから分離した新生「VAIO株式会社」が7月1日に無事発足した。ただ「ソニーのVAIO」でなくなった弊害はないのか。いくつかの疑問をひもとこう。
Q:商品価格が高くなってしまうのでは?
ソニー時代より生産規模が小さくなること。こちらは新生VAIOの大きな課題かもしれない。製造コスト、つまり製品価格に直結することだからだ。
PCは、CPUやストレージ、ファン、OS、コンデンサーや端子類など、多くの構成部品を他メーカー/サプライヤーより汎用品を調達し、そこにメーカ独自の技術を合わせて組み上げる商品。部材の調達数が多ければ、1台あたりの調達コストを下げられる仕組みだ。LenovoやHP、Dell、Acerなど、グローバルシェアの高いメーカーが同等スペックなのに比較的安価な戦略的モデルを投入できるのもこの理由からきている。
では新生VAIOはどうか。新生VAIOは、国内のみ、かつ直販中心の販売方法に特化する方針を示し、2015年度で30〜35万台規模の出荷目標を掲げた。ソニー時代は年数500万台規模(2013年度)のPCをグローバルで出荷していたので、これまでと同じとはいかないと予想できる。
「そこは弊社のチャレンジポイント。ただ、これまでと同様にと賛同して下さったパートナーさんもある。また、(他社から調達する)汎用部品と(自社開発する)カスタム部品の分離を徹底し、効率化も図る。事業面でも“選択(絞る)と集中”の戦略とし、販路を国内市場に集中して固定費を削減する。多くのPCメーカーが苦労する価格競争だけに特化するつもりはないが、当然、コストメリットのある商品でなければ勝ち目はない。努力するので期待してほしい」(関取社長)
Q:法人向けモデルはある?
軽量スリムモバイル「VAIO Pro 11」(11.6インチ約770グラム)、「VAIO Pro 13」(13.3インチ約940グラム)、「VAIO Fit 15E」(15.5インチ光学ドライブ内蔵)の2シリーズ3機種を、法人向けにも販売する。
「法人需要は、これまで以上に力を入れたい」(関取社長)
フルカスタマイズ対応の個人向けと異なり、それぞれ5つの仕様をあらかじめ定めた標準モデルを用意し、導入する法人が標準モデルをベースに選びやすいよう工夫した。OSも「Windows 7プリインストール」構成を用意し、2014年7月現在の法人導入ニーズに合わせた。Windows 7プリインストールは、Windows 8.1 Proのダウングレード権を利用したもののため、将来(自社環境のWindows 8受け入れ体制が整えば)、追加コストなしでWindows 8.1へアップグレードできる。
「法人戦略は、IT機器調達担当やIT部門のマネージャーなど、ステークスホルダーの需要に応えること。ただし利用者は一個人。どちらの感性にも合う商品を新生VAIOで提供したい。オフィスPCなんて、性能も見た目もたかがしれてる。言ったな?──という気持ち」(VAIO株式会社執行役員マーケティング担当の花里隆志氏)
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