号泣県議・野々村さんは、兵庫県議会に比べたらよっぽど政治家らしい:窪田順生の時事日想(2/4 ページ)
「号泣県議」こと野々村さんが11日付で辞職した。彼のおかげで「政務活動費」というカネが、議員たちの「生活費」になっていることが明らかになった。しかし、兵庫県議会はこの問題をうやむやにしたいようで……。
「理論」の正体
河村たかしの主張はシンプルで、要は「政治家だってカネは必要だ。ただ、もらい過ぎだ」と言っているのだ。
一党独裁の社会主義国家でもないかぎり、「議員」に4000万とか2000万などという税金を無条件で渡している酔狂な国はない。つまり、日本の政治家は「世界一おいしい商売」なのだ。こういう特権にあぐらをかいて、「親子三代やってます」みたいな人たちが、社会システムの変革や不正の追及ができるわけがない。
カネをあげすぎるから、「政治」よりも「政治で生計をたてる」ことに執心するので、世界の常識に照らし合わせて、「議員」を「おいしい商売」にしない。世界一汚職が少ないとされるニュージーランドや、北欧の国の議員は年収300〜600万程度である。
なーんて話を、ある時、知人の政治部記者たちにしたことがある。彼らはみな「チッ、これだから素人は」みたいな顔をして、こんなことを言ってきた。
「年収600万の政治家じゃあキャリア官僚や財界の連中に丸め込まれますよ。世の中を変える政治をするためには、やはりある程度は我々国民が食わせるべきですよ。選挙にもカネがかかりますし……」
新聞記者の「高給理論」を思わせる彼らの話にじっくりと耳を傾けていたら、あの時感じた“不快さ”の正体も見えてきた。それは日本の権力中枢にまん延する、こんな思想である。
「立派な人でも貧すれば鈍する。だから、カネで苦労をさせないようみんなで養うべきだ」
中国共産党の幹部や北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)さんが演説でふりまいてそうなロジックを、この国のエリートとされる人たちが揃いも揃って「それが民主主義でしょ」みたいな顔で語っているというのが、私的には蕁麻疹(じんましん)ができるほど気色悪かったというわけだ。
ただ、この思想の源流をつきつめていくと、面白いことが分かる。
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