号泣県議・野々村さんは、兵庫県議会に比べたらよっぽど政治家らしい:窪田順生の時事日想(3/4 ページ)
「号泣県議」こと野々村さんが11日付で辞職した。彼のおかげで「政務活動費」というカネが、議員たちの「生活費」になっていることが明らかになった。しかし、兵庫県議会はこの問題をうやむやにしたいようで……。
「ズブズブのなれ合い」に注目
実は国会議員の「議員報酬」(歳費)は戦後まもなく施行された国会法第35条によって定められているのだが、そこにはこんな文言がある。
「議員は、一般職の国家公務員の最高の給料額より少くない歳費を受ける」
最高の給料額というのはいわずもがな「高級官僚」の給料だ。これを踏まえると、この国で政・官・マスコミの三者が手をたずさえて、「ベア」に励んできた関係がくっきりと浮かび上がる。
国会議員の給料が上がっていくということは、それよりもやや少ない高給官僚の給料も上がる。両者の給料が上がれば、「監視役」の新聞記者も高給取りにならざるを得ない。しかし、この高給システムにはひとつ欠陥がある。国会議員は選挙に落ちれば「ただの人」になってしまうのだ。
そこで、落選を防ぎ、「国会議員」という高給取りを“家業”として維持するため、選挙をサポートする地元部隊が必要となる。「地方議員」だ。彼らは地元の有権者をとりまとめて、国政に押し上げる。その代わり、国会議員の後押しで、年収2000万、費用弁償などのさまざまな「特権」も与えるようになったというわけだ。
そんなズブズブの関係を象徴するのが、「政務活動費」だ。これはもともと「政務調査費」だったのだが、使い勝手が悪いから、なんでも使えるようにしろ、地方議員からの要望に応えて自民党が中心となって、議員立法で通したのである。
こういう地方議員のしょうもない実態というのは、これまであまり公にならなかった。マスコミも国会議員のスキャンダルは喜んで扱うが、「小物」である地方議員の場合、どんなにメチャクチャやっても「まあ、そういうおかしな議員もいますよね」とスルーしていたからだ。それが最近、ひょんなことで地方議会に注目が集まっている。
もうお分かりだろう、「号泣県議」こと野々村さん(11日付で辞職)だ。
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