なるほどこんな発想で──ビッグデータとIoTを生かす「5つのヒント」:松岡功の時事日想(2/4 ページ)
ビッグデータを活用してビジネスに生かそうという動きが活発化している。その中には、なるほどこんな発想で、と想像しやすいものもある。筆者が最近印象に残ったビッグデータ活用の事例やサービスを紹介したい。
ビッグデータ+IoTを理解するうえでヒントになる「5つのポイント」
前ページの事情をふまえ、筆者が最近印象に残った事例やサービスを5つピックアップしてみた。新たな発想のヒントになればということで、それぞれの詳しい内容についてはリンク先を参照するか、キーワードをもとにリサーチしてみていただきたい。
【1】クルマのテレマティクスシステムを活用した「新しい自動車保険」
まず1つ目は、あいおいニッセイ同和損害保険がトヨタ自動車と組んで2015年度に発売する予定の「新しい自動車保険」(関連記事参照)だ。
何が新しいか。走行情報をリアルタイムで収集し、毎月の保険料を1キロメートル単位の走行距離に応じて計算するところにある。走行情報はトヨタ自動車が新たに開発した車載情報(テレマティクス)システム「T-Connect」を通じて収集する。さらに、急発進や急ブレーキの頻度から安全運転の度合いを算出し、保険料に反映させる商品も想定する。クルマの対応と普及次第という課題はあるが、自動車保険のあり方が大きく変わる可能性がある。
【2】渋滞や急ブレーキが発生する場所が分かると……「商用車プローブデータ・サービス」
2つ目も自動車関連。富士通が7月8日に発表した「商用車プローブデータ・サービス」(関連リンク参照)である。
同サービスは、トラックなどの商用貨物車に搭載したデジタルタコグラフから1秒間隔で集められた細かい速度や位置、時刻などの情報をもとに、クルマの走行挙動を識別するデータを収集するものだ。これを活用し、さらに客観性のあるデータに基づいて全国の主要幹線道路における道路利用実態や物流走行経路の分析、そして渋滞や急ブレーキが発生している区間の挙動などを高い精度で分析する。例えば、道路インフラの維持管理や新設において最適な投資配分の判断が求められる自治体や高速道路会社などにとって、とても有効なサービスとなりそうだ。
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