「かめはめ波」って撃てるの?:女性脳と男性脳の論理(2/3 ページ)
ビジネススクールで論理思考を教える“男性脳”の筆者が、摩訶(まか)不思議な存在である女性と女性の脳を観察、分析する。今回は、女性陣には理解不能かもしれない男性の変なところについて。「本気で、かめはめ波が出ると思っているの?」――。
男はロマンチストで、女はリアリスト
この話には、実は、後日談がある。食事会に参加した女性の1人が会社で男性社員に聞いたところ、こんな答えが返ってきたそうだ。
男性社員: かめはめ波はムリだけど、「元気玉」なら出せる。
ちなみに元気玉も、ドラゴンボールの孫悟空の必殺技で、仲間の気を少しずつ集めて、巨大なエネルギーを作りだすというものだ。
これを聞いた女性は「この男性を理解する事はできない」と思ったのだそうだ。ただ、「男ってロマンチストなのかもって思っちゃいました」とも語ってくれた。
では、本題。果たして、男はロマンチストなのか? そして裏を返すと、女はリアリストなのか?
そこですぐに思いつくのが、ディズニーランドのリピーターは圧倒的に女性が多いという話だ。
ディズニーランドにいる女性は、夢の中に入っているように見える。女性にとっては、ディズニーランドは「現実の世界に出現した『ファンタジーの世界』に浸れる場所」なのではないだろうか。逆に、私が観察する限り、男性はディズニーランドの世界には浸れない。自ら積極的には足を向けず、女性や家族に連れられて行くか、アトラクションの乗り物に魅かれて行く。
ここだけで考えると、女性のほうが夢や幻想の世界を好むようにも思えてくる。けれど、女性は男性がかめはめ波の話をすると、「何、それ。そんなバカな話あるわけないじゃない」と否定する。これは何なのだろうか。
少しビジネス寄りに考えてみたい。いつも取り上げている座談会の記録を見返していたところ、参考になりそうな発言があったので紹介しよう。
Kさん: 私が以前いた会社は営業で勝っている会社で、数字に厳しかったんですよね。なので、月初に全員が目標を公表し、10日、20日、最終3日前の段階で進捗を報告し、最後は月末に閉めるんですけど、男性と女性では報告の仕方が真逆なんです。女性は20日の段階では絶対に「100いける」とは言わない。「いけるかな」と思っていても、その時点で確実なのが80であれば、「80しかいけません、課長すいません」って謝るの。ところが、男性は大体「俺は120、130いきそうです」って言う。で、月末に蓋を開けてみると女性のほうが100とか120とかで、男性のほうが80で終わっている。
つまり、
- 女性は、現実的な数字を見込み数字として報告
- 男性は、「こうなるといいな」という夢も混ぜた数字を見込み数字として報告
するというのだ。確かにこれは、よく見られる光景のような気もする。そこから考えると、やはり女性のほうがリアリストにも思えてきた。
無論、これについては別の見方もあろう。例えば「男性は、よりチャレンジングな数字を目標とすることを求められているから」とか。ただ筆者の経験では、男が「俺は120、130いける」と言っているときは、本人は、本気でそれが現実に起こるものと信じていることが多い。
ここで、今回の仮説だ。
- 仮説12:女性は、ファンタジーは作り話と割り切っている(「現実の世界」と「ファンタジーの世界」を分けて捉えている)
- 仮説13:男性は、ファンタジーはいつか現実のものになると考えている(「現実の世界」と「ファンタジーの世界」に境目がない)
だから、現実と切り離したところに、わざわざファンタジーの世界を再現したディズニーランドに男性はあまり興味を示さず、かたや現実の世界で(女性から見れば)ファンタジーのような業績目標を臆面もなく口にする、という分析だ。
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