業務提携ってどのように進めるの? JALの達人に“交渉術”を聞いてきた:仕事をしたら“交渉”が成立した(3/7 ページ)
「『業務提携』を担当する人って、厳しい交渉をしなければいけない……」といったイメージがあるが、実際のところはどうなのか。JALでコードシェアを担当している人に、他社との交渉術を聞いてきた。
提携交渉は基本的に1人
土肥: JALがコードシェアの提携を始められたのは、いつごろでしょうか?
カムチャイパイ: 1960年代に、フランスのエールフランスと提携しました。ただ、当時の提携内容は、現在のコードシェアのスキームではなく、販売協力という側面が強いですね。
当時のJALは「自社の飛行機を使って“世界一周”」を目指していたのですが、需要が足りなかったので、経済性のメリットが見い出せませんでした。そうした背景があったので、エールフランスと提携したのですが、いつか多くのお客さまがフランスに行く……というときがくれば、自社の飛行機を飛ばそう、と考えていたようです。
土肥: 現在、JALではパリ線を運航していますよね。エールフランスとの提携は解消してもいいのでは?
カムチャイパイ: JALが運航しているパリ便は、朝と昼。でも、エールフランスは夜。つまり、ダイヤの補完性があるんですよ。また、エールフランスとはパリ以外にも14地点で提携を結んでいるので、お客さまにとってもメリットが大きいと感じています。
土肥: カムチャイパイさんはコードシェア関連の仕事を担当されていますが、実際にどこかの航空会社と提携交渉を結ばれたことはあるのでしょうか?
カムチャイパイ: 2012年に「バンコク・エアウェイズ」と提携を結びまして、このときは私が担当しました。
土肥: プロジェクトチームを組んで、提携を進めていったのでしょうか?
カムチャイパイ: いえ、契約は関係部署からの協力を得なければいけませんが、基本的には私1人ですね。
土肥: えっ! ということは“JAL代表”なわけですね。代表がコードシェアを担当されたのは、2010年でしたよね。ということは、わずか2年で結果を残された。バンコク・エアウェイズと提携するまで、どんなやりとりがあったのでしょうか?
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