「BYOD」を進めるにあたり、まず考えなければならないこと:松岡功の時事日想(2/3 ページ)
すでにある私物デバイスを業務でも使う利用形態が広がってきている。が、その広がりはまだゆるやかで、そのルールもきちんと整備されてはいないのが現状だ。大きく広がる可能性はあるか。興味深いリポートを見つけたので、それを取り上げながら考察する。
的確な経営判断にかかっているBYODの効果
BYODに関する制度は誰が考えるべきなのか。ここは重要なポイントだ。
「BYODに関する制度を誰が考えるかということが社内でできていない。考える部門が、情報システム部門なのか人事部門なのか企画部門なのか総務部門なのか、部門間で押しつけ合いになり、シャドーIT(=会社の管理下にない端末を従業員が業務に利用すること)が生まれるのが嫌なので、渋々情報システム部門がリスクの回避だけを行う、という構図が多いのではないか」
「何を守らなければいけないのかがはっきりしていない状態で、情報システム部門が全部管理しろというのはナンセンス。そこの整理ができない会社はBYODを行うべきではない。会社として何を守りたいのか、何を失ったらまずいのかという根本的な話をしたほうがよい」
「会社として一律にBYOD推進に舵を切ったからといって、BYODを全員やらなければいけないわけではない。BYODをやりたい人だけに環境を提供するほうが、BYODの効果は高い。経営者が社員にどういうふうに働いてほしいか、ワークスタイルを決める必要がある。すなわち、BYODで効果を上げるのは的確な経営判断にかかっている」
ユーザー視点からのBYODについても、次のような発言があった。
「日本企業はBYODでも全部管理したいというニーズがある。そうであればBYODは難しいので、そこの切り分けができるかどうかがポイント。本来、個人が管理すべきもの(Apple IDなど)を会社がどう管理するのかをうまく考えられるとよい。あまりセキュリティをガチガチにしてしまうと、BYODを行うメリットがなくなるので、そこはバランスが重要だ」
「BYODを導入してもユーザーが使いたい機能とマッチしていなければ、シャドーITの防止にはつながらない。ユーザーがどう使いたいのかを汲み上げた上でBYODを論ずることが重要だ」
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