なぜ『朝日新聞』は池上彰さんの連載原稿を掲載しないと言ったのか:窪田順生の時事日想(1/4 ページ)
『朝日新聞』が大変なことになっている。ジャーナリスト・池上彰さんの原稿を、『朝日』の報道局が掲載できないと突っぱねたことが明るみに出たからだ。こうした不可解な言動が続く背景には、何があるのだろうか。
窪田順生氏のプロフィール:
1974年生まれ、学習院大学文学部卒業。在学中から、テレビ情報番組の制作に携わり、『フライデー』の取材記者として3年間活動。その後、朝日新聞、漫画誌編集長、実話紙編集長などを経て、現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌でルポを発表するかたわらで、報道対策アドバイザーとしても活動している。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。近著に『死体の経済学』(小学館101新書)、『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)がある。
『朝日新聞』が真っ赤に燃えている。
きっかけは、同紙で連載しているジャーナリストの池上彰さんの原稿を、『朝日』の報道局が掲載できないと突っぱねたことが明るみに出たことだった。
池上さんの原稿は『朝日新聞』が慰安婦強制連行したという吉田清治の証言がえらく時間が経過してから「誤報」だと認めたことを扱って、「過ちを認めるなら謝るべき」というもっともなご意見を述べられている。耳が痛い話だからボツというのは「言論機関」としてどうなのよ、と全方向からボコボコに叩かれているのだ。
やっていたことはそんなに変わらないんじゃないのと思ってしまう『毎日新聞』も、特別編集委員の岸井成格さんが「まず謝るべき」なんて言い出して、まさに四面楚歌。
9月21日にはフジテレビで抗議デモをされていた方たちなどが、「朝日新聞を許さない! デモ」も企画されているそうで、かつてのお台場のように築地本社前もえらい騒ぎになりそうだ。
そんな炎上ぶりにさらに燃料投下しているのが、『週刊文春』がスッパ抜いた「社内メール」だ。『朝日新聞』の木村伊量社長が「反朝日キャンペーンを繰り広げる勢力に断じて屈するわけにはいきません」などと書いたメールを全社員あてに送っていたというのだ。
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