「NerveNet」をご存じですか?──災害対策から生まれた技術のさらなる可能性:松岡功の時事日想(2/3 ページ)
「NerveNet」をご存じだろうか。東日本大震災から3年半。当時、現場で機能しなかった通信ネットワークを改善すべく、さまざまな技術開発が進められている。その技術の1つ“メッシュ型地域ネットワーク”には、さらなる可能性があるようだ。
求められる「平常時においての多目的な利用シーン」
共同研究プロジェクトは、こうした災害対策の強化を軸にしながら、平常時においても多目的に利用できることを目指している。各基地局のサーバに情報を持つことで「容易に地域の情報サービスネットワークを構築できる」こと。しかも用途によっては、既存の通信網、クラウドに頼らなくてもメッシュ型地域ネットワークとして完結した形で運用できること。ここがその可能性を示すポイントだ。
共同研究プロジェクトでは「NerveNetの特徴を生かしたアプリケーション」と「安価な通信インフラとしてのサービス化」といったアプローチが検討されている。“NerveNetの特徴を生かしたアプリケーション”とは何か。地域情報の配信、地域災害の監視や地域河川の監視、高齢者などの地域見守り、地域商店街の活性化、オープンデータやビッグデータの活用などが候補に挙がっている。ここには、インターネットや携帯電話網では実現できない、あるいは実現しにくいアプリケーションの実現が求められている。
“安価な通信インフラ”としての期待も高い。地域内ミニキャリアや議会広報、公共職員間の通信や通話インフラ、遠隔医療や介護、スマートシティ、HEMS(ホームエネルギー管理システム)、BEMS(ビル管理システム)、スマートグリッドの省エネルギー基盤、自動販売機や物流などの在庫管理などが候補に挙がっている。基地局での制御により、通信コストの削減が見込める点を訴求していく構えだ。(図2参照)
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