それでも私たちは『朝日新聞』を許さなくてはいけない:窪田順生の時事日想(3/3 ページ)
『朝日新聞』が相次ぐ誤報で揺れている。ネット上では大騒ぎになり、安倍政権では「(朝日新聞を)国会招致すべきだ」という批判も出始めた。しかし、筆者の窪田氏は「非寛容な対応」を続けると、新たな問題が生まれるという。それは……。
『朝日新聞』を許さなければいけない
こんな反日新聞は潰してしまえ。中立な報道ができないなら解体すべきだ――。気持ちは分かる。しかし、それでも政府の介入を許したり、暴力による弾圧をしたりしてしまったらそれこそ『朝日新聞』の思うツボである。
先の「天声人語」にはこんな一文もある。
渡辺は古代ローマ社会でのキリスト教弾圧を念頭に考えた。すなわち自分とは異なる思想を抹殺しようとすると、かえってその思想を生かすことになる。なぜならそれは、相手に「殉教者」の立場という、抵抗するための強力な武器を与える結果になるからだ、と
これはまさしく今の『朝日』の姿と丸かぶりではないか。彼らの多くは、「慰安婦狩り」をしたという吉田清治の証言が虚偽だと認めただけで、「従軍慰安婦キャンペーン」は間違っていなかったと今も信じて疑わない(関連記事)。
こうなるともはやジャーナリズムではなく「信仰」である。
今、彼らは自分たちの「信仰」を守ろうと必死になっている。「信仰」に批判や反発はつきものなのだ。世界中の宗教紛争を見るといい。「イスラム国」然りだが、弾圧をされることでさらに信仰が深まり、危険さが増している。
つまり、もし仮にアンチの人々が望むように『朝日新聞』が地上から消え去っても、「殉教者」たちに手によってより過激な第二、第三の『朝日』が生まれるだけというわけだ。だから、怒りにまかせて過激な行動にでてはいけない。腹わたが煮えくり返っている方もいるかもしれないが、それでも我々は『朝日新聞』を許さなければいけない。
異なる思想を暴力で排除するということは、韓国と同じレベルに落ちてしまうということなのだから。
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