葬儀代を明朗会計にした会社――すぐに“嫌がらせ”をされた:仕事をしたら“葬儀を安く”できた(前編)(6/6 ページ)
不透明な葬儀業界において、明朗会計で料金をガラス張りにした会社がある。それは、名古屋市に本社を置く「ティア」。葬儀代金をオープンにして、価格を安くしたら、すぐに“嫌がらせ”を受けたという。同社の冨安徳久社長に話を聞いた。
オリジナルの会葬礼状
土肥: 結婚式に比べて、お葬式の変化ってあまりないのですが、最近何か新しいことを取り入れたりしていますか?
冨安: オリジナルの会葬礼状が増えてきていますね。多くの礼状には「謹啓 亡父 ○○儀 葬儀の際はご多忙中のところをわざわざご会葬賜り ご丁重なご厚志を賜りまして 厚くお礼申しあげます」などと書かれていますが、ドイさんはきちんと読まれたことありますか?
土肥: 正直に言うと、ないですね(ごめんなさい)。
冨安: ほとんどの人が読んでいないと思うんですよ。葬儀場の場所と葬儀の時間を確認して、捨ててしまう。なぜ、読まないのか。それは、ありきたりな文面だから。でも、そこに潜在的なニーズがあるのではないかと。そこで、故人または遺族のメッセージを文面にしました。「故人はこういう人で……。私たちをこのように育ててくれた」といった内容に。
土肥: それはいいですね。故人のことを少しでも知ることができて。
冨安: 商売の根幹は、「常識のことをやっていてはダメだ」と思っているんです。非常識なところに潜在的なニーズを引き出す要素があるのではないでしょうか。社員たちにも「『こんなことをやってはいけない』と思ったことをどんどん提案してくれ」と言っているんです。
礼状のケースでいえば、サービス業を超えたおもてなしの世界。サービス業だけでやっているうちは、これからの時代勝ち残っていくのは難しい。損得抜きにして、遺族のためにつくす。遺族のことを考えて、徹底的に接客する。ここういうスタンスを取り入れられるかが、これからの葬儀業界においての差別化になるのではないでしょうか。
土肥: なるほど。次に、葬儀会社で働くのはどんな人が向いているのか、教えていただけますか。
(つづく)
関連記事
- なぜ世の中に悪い人は少なく、いい人が多いのか
「また騙された。正直者がバカをみる世の中はおかしい」と感じたことがある人も多いのでは。トクをするのであれば悪い人が増えそうだが、この世はいい人のほうが多い。なぜか? そこで動物の行動に詳しい、竹内久美子さんに人間の生き方を聞いた。 - 「映画は熱意で大きくなっていくもの」――滝田洋二郎監督、『おくりびと』を語る
第81回アカデミー賞で外国語映画賞を受賞した『おくりびと』の滝田洋二郎監督は4月16日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で会見を行った。アカデミー賞受賞の反響や死生観について語った会見の内容を詳細にお伝えする。 - “葬式鉄”に学ぶ、不要なモノと別れる方法
鉄道路線や寝台特急の廃止が決まると、全国から鉄道ファンが集まってくる。そうしたファンのことを“葬式鉄”と呼ぶ人がいるが、彼らが行う儀式にモノとの別れ方の手本があるかもしれない。 - 「家族葬」とは? 押さえておきたい注意点と落とし穴
家族が亡くなったとき、身内だけで見送りたいという「家族葬」を望む人が増えています。ただ、実際には一般的な家族葬のイメージとはギャップがあるようです。こんなはずでは……ということにならないよう、家族葬とその注意点について紹介します。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.