マツダの工場は「現場の課題」にどのように向き合っているのか:工場潜入(前編)(1/4 ページ)
ここ数年、デミオを始め革新的なデザインと技術を持ったクルマを生み出し続けるマツダ。そんなチャレンジ精神あふれるマツダのマインドは、失敗を恐れない、むしろ挑戦の上での失敗を称える「失敗大賞」という、クルマを作る現場での取り組みにも表れている。
2012年発売のCX-5以降、アテンザ、アクセラ、そしてデミオと、最近のマツダ車の販売台数が好調だ。そんなマツダの新世代商品群を生み出すのが広島と防府にあるマツダの工場だ。2拠点合わせて1日に4000台、53秒に1台のペースで完成車をラインオフするマツダの工場。中でも広島の本社工場は、製品の企画、開発から生産、そして出荷まで、クルマ作りのすべてが1つの敷地に集約されているのが特徴だ。
そんな本社工場では、生産部門の従業員も常にモノづくりへの情熱とこだわりを持って日々の作業に取り組んでいる。その表れのひとつが「失敗大賞」という顕彰の仕組みだ。圓山雅俊執行役員 本社工場長が発意して2013年度から始めたもので、生産活動の中でよりよいモノづくりを目指して目標を定め、工夫や改良、改善といった取り組みを行った結果、目標まで至らなかった独創的な挑戦に対して、そのチャレンジ精神をたたえている。
「工場での評価はほめることよりも、『不良を出した』『ラインを止めた』『ケガをした』といったマイナス要素、失敗をとがめることのほうが多くなります。そうなると、大きなことを改善しようとか、作業の中で自己実現をしようと考えた時に、怒られるのでは、迷惑をかけるのではと萎縮して、なかなか前に進めなくなります。しかしそういう雰囲気こそがよくないことだと思います。そこで失敗こそが挑戦した証であり、称賛に値する風土を作っていきたいと“失敗大賞”を作りました」(圓山氏)
失敗大賞は半期に一度、部署での取り組みの中での失敗を持ち寄り、よりチャレンジングな取り組みでも成果が出なかったものをマネージャーが選び「マネージャー賞」が与えられる。さらにその失敗は部内で持ち寄り選考されて「部長賞」が与えられ、そこで選ばれた失敗は工場全体で審査されて最上位として「工場長賞」が授与される。それぞれの賞の担当者には、広島弁で激励を表す言葉が記されたワッペンが与えられることになっている。
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