物流が止まる、経済が止まる──「鉄道貨物輸送の二重化」を急げ:杉山淳一の時事日想(2/5 ページ)
台風18号が起こした土砂崩れで、東海道本線の一部が10日間にわたって不通となった。旅客輸送は振り替え輸送で対応できたが、貨物輸送は極めて厳しい事態になり、大きな課題を残した。筆者が提案する解決策は「東海道本線の二重化」。その理由は……。
鉄道貨物輸送は二重化されているか
社会的に重要な設備には二重化が必要である。
企業の情報設備にとって、二重化は常識だ。
では、物流はどうか。鉄道貨物輸送は二重化できているだろうか。
先日発生した「東海道本線の土砂流入による不通」は、この問題を突きつけた。
2014年10月5日午前9時ごろ、東海道本線の由比駅―興津駅間と鷲津駅―新所原駅間で線路内に土砂が流入した。当日は台風18号の接近が予想されたため、列車は運行していなかった。このうち鷲津駅―新所原駅間は復旧が早く、翌7日始発から再開。しかし由比駅―興津駅間を含む富士駅―興津間は不通のまま。運行再開は10月20日頃と発表されたが、10日に富士駅―由比駅間を再開。16日には残り区間も当初の計画を前倒しして再開した。
旅客輸送について、JR東海は10月8日から東海道新幹線を使った代替輸送を実施した。定期券利用客と10月5日より前に乗車券を購入した利用者が対象だ。東海道本線の富士駅と東海道新幹線の新富士駅を結ぶシャトルバスを運行し、新富士から静岡までは特急券なしで乗車できた。乗客増に対応するため、新幹線の三島駅―静岡駅間の回送列車を利用可能とし「こだま719号」を運行した。10日からは興津駅―蒲原駅間でもバス代行輸送を実施している。もともと運休だった6日を除くと空白は7日のみ。思い返せば、東海道新幹線は50年前に東海道本線の複々線扱いで作られた。JR東海にとって、これはすでに想定されていた対処かもしれない。
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