女性が管理職になれない、極めてシンプルな理由:サカタカツミ「新しい会社のオキテ」(3/3 ページ)
アベノミクスの重点テーマの一つが女性活用。「2020年までに企業の3割を女性管理職に」という政府目標に対し、企業の人事担当者たちは「適材がいない」と困り顔。なぜ女性は管理職になれないのか、10月14日に発表された調査データをひもとくと……。
「ロールモデルがいない」と嘆いている働く女性たちは多い
このコラムの読者である中間管理職の皆さんは「これはまずいことになりそうだ」と、状況を注視するとともに、自分は何をするべきなのか、少し考えておく必要があります。
まず考えるべきは、管理職へ配置するのにふさわしい世代の女性の中に、管理職になるための教育を受けていない人がたくさんいるということ。
だから管理職にしない、という従来の対応策では、これからは済まなくなってきます。「女性管理職を3割に」といった、政府による数値目標が今後設定された場合、能力がなく資質もない女性が、そのポジションへと登用される可能性が出てきます。その結果、与えられた職務をまっとうすることができずに、結果として「やはり女性は使えない」という烙印が押されてしまうケースも想定できます。
事態が進むと「お飾りでポジションを与えておけばいい」という風に、本来の目的を骨抜きにしてしまうことも起こるでしょう。もし、自らの預かる職場でお飾り女性管理職を抱えることになったら? そう考えると、頭が痛くなるはずです。
さらにそういう状態は、別の不幸も生み出しかねません。以前、ある女性から今後のキャリアについて相談を受けた時に、こんなことをこぼしていました。
「自分の会社には、ロールモデルになる女性がいない」
先輩だから敬いたいし、仕事においても参考にしたい。けれども、先輩は出世欲もないし、そもそもそういうポジションについていない(あるいは、つかせてもらえない)ので、あまり自分の参考にはならない。
「そんなこと言っているやつに出世はできない。異性の先輩はたくさんいるのだから、それを見習えばいいじゃないか」という男性の声も聞こえてきそうですが、それができれば苦労はしません。先輩の女性にしても、自分とは違う考えの働き方を志向している後輩女性と接するのは骨が折れるし、そもそも何をアドバイスしていいのか分からないケースも多くなる。
あなたにできること、それは女性部下の「育成」
だからといって、一管理職が何かできるのかというと、確かにできることはそれほど多くない。組織の問題であり、構造的な課題だからです。けれども、一人でもできることはあります。それは「育成」です。
体系立てて教育をすることは難しくても、管理職になるために自らが学んできたこと、そして経験してきたことを、自分の部下に教えることはできるはずです。学ばせなかったから、経験させなかったから、女性は管理職になるために必要な資質を備えていない、と周囲に言わせないためにも、あなたがサポートしてあげて欲しいと、私は考えています。……そう、制度が整うまでは。
今回紹介した調査速報(参照リンク)は、細かく見ていくともっと興味深いことに気づくはずです。関心のある方はぜひご自分でもじっくり読んでみてください。
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