連載
「普段と同じ」をさりげなく 東急多摩川線の「キヤノンダイヤ」が見事:杉山淳一の時事日想(2/5 ページ)
この夏、東急電鉄が興味深い施策を行った。7月7日から9月26日まで、平日早朝に東急多摩川線と池上線で増発した。その理由は意外にもキヤノンが関係していたらしい。調べてみたら、これはなかなか粋な施策だった。
2014年夏、東急電鉄の臨時ダイヤの理由は?
2014年6月20日、東急電鉄が配信したプレスリリースが興味深かった。「東急多摩川線・池上線を夏季臨時ダイヤで運行します」というタイトルで、内容は以下の通り。
- 7月7日(月)〜9月26日(金)の平日に実施
- 東急多摩川線は07:00〜7:30に上下とも1本増発
- 16:00〜17:00に多摩川発蒲田行を1本増発
- 15:50〜16:50に蒲田発多摩川行を1本増発
- それにともない、前後時間帯の列車の時刻見直し
- 池上線は06:30〜7:00雪が谷大塚発蒲田行を1本増発
- 06:30〜7:00蒲田発雪が谷大塚行を1本増発
2路線とも朝の通勤ラッシュ時間帯前に1本増発。東急多摩川線は夕方の早い時間帯も増発している。一般紙では取り上げられなかったようだが、鉄道ニュースメディアではこのプレスリリース内容がそのまま報じられた。しかしその理由は詳しく報じられなかった。
なぜ、こんな時間帯に増発するのだろうか。
実施期間を見ると、7月から9月である。実施時間帯を見ると、通勤よりは通学の時間帯である。でも、夏休み期間は通学する生徒や学生はむしろ減るだろうから、増発は逆で、むしろ減便のほうが理解しやすい。そもそも7月上旬から9月下旬という期間は、夏休みよりも前後に長い。これは学校とは関係なさそうだ。
そんな疑問を、東急電鉄に勤める知人に聞いてみたところ、「ああ、それ、ボクらは"キヤノンダイヤ"って呼んでますよ」とのことだった。
関連記事
- 杉山淳一の +R Style:第31鉄 私のルーツをたどる旅――肉と桜と池上線
五反田〜蒲田を結ぶミニ路線、東急池上線は、筆者には子どものころから身近な存在。日蓮さんと桜の名所が2つ。そして筆者オススメの肉料理のお店も3つ。鉄道好きにとって珍しい場所も織り交ぜて歩いてみた。 - 杉山淳一の時事日想:渋谷―羽田アクセス線対決! 東急が「蒲蒲線」に前向きになった理由
「蒲蒲線」が、やっと動き出しそうだ。2014年9月、東急電鉄が国土交通省で開催された会議で「蒲蒲線」に言及した。構想発表から14年間も停滞していたのに、なぜ東急電鉄は「蒲蒲線」に前向きになったのか。その理由は……。 - 杉山淳一の時事日想:どこが違うの? 『JR時刻表』と『JTB時刻表』
書店で発売されている「時刻表」は数種類ある。そのうちの2冊、交通新聞社の『JR時刻表』とJTBパブリッシングの『JTB時刻表』は売り場で目立つ。判型も価格も同じ、掲載されている列車の時刻も同じ。そんな商品がどうして2種類も存在しているのだろうか。 - 杉山淳一の時事日想:「寝台特急あけぼの」を残す、ひとつのアイデア
東京と秋田・青森を結ぶ寝台特急「あけぼの」が、2014年3月15日のダイヤ改正で定期運行を終了する。秋田県側は存続を求めているが、JR東日本は前向きではない。ただ存続させる方法がひとつある。それは……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.